脳神経外科専門医が習得しておくべき知識，テクニックをまとめた新しいシリーズ．イラストや写真，表を積極的に盛り込んでビジュアルでわかりやすい記載を目指し，一冊ずつが独立した書として当該テーマを深く掘り下げていくが，同時にシリーズを通読することにより脳神経外科エキスパートが身につけておくべき幅広い知識を得ることができるように構成した．本書は脊髄・脊椎領域の重要疾患，最先端の手術手技のバリエーションなどを解説．

1　頸椎椎間板障害に対する術式のバリエーション 〈高安正和〉 1
　A．前方アプローチ 3
　　1．頸椎前方神経根減圧術 〈高安正和〉 3
　　　 ａ）診断 4
　　　 ｂ）経椎体キーホール手術 4
　　2．Williams－Isu法を用いた頸椎前方除圧固定術 〈金　景成　井須豊彦〉 9
　　　 ａ）手術方法 9
　　　 ｂ）手術材料 13
　　　 ｃ）対象 13
　　　 ｄ）結果 13
　　　 ｅ）考察 14
　　3．椎体切除 〈小柳　泉〉17
　　　 ａ）適応 17
　　　 ｂ）利点と欠点 17
　　　 ｃ）椎体切除はなぜ不安定性が高いか 17
　　　 ｄ）どこまでアプローチが可能か 17
　　　 ｅ）頸椎OPLLに対する椎体切除と前方固定術 17
　　　 ｆ）頸胸椎移行部レベルへの前方アプローチ 26
　　　 ｇ）頸椎硬膜内病変に対する前方アプローチ 27
　　4．頸椎前方プレート固定 〈伊藤康信〉31
　　　 ａ）利点とリスク 31
　　　 ｂ）適応と禁忌 32
　　　 ｃ）手術手技 33
　　　 ｄ）周術期管理 35
　　　 ｅ）おわりに 35
　　　 ｆ）症例提示 36
　　5．経椎体アプローチを用いた頸椎前方除圧術 〈金　景成　井須豊彦〉40
　　　 ａ）手術方法 40
　　　 ｂ）対象 42
　　　 ｃ）結果 43
　　　 ｄ）考察 43
　　　Side Memo　インプラント材料 〈上甲眞宏〉48
　　　Side Memo　BMP 〈黒川　龍〉 50
　　6．Lateral approach 〈伊藤昌徳〉51
　　　　　 ａ）適応・禁忌と利点 51
　　　 ｂ）手術手技 52
　　　 ｃ）周術期管理 59
　　　 ｄ）リスクと合併症回避 59
　B．後方アプローチ 61
　　1．Foraminotomy（後方） 〈篠永正道〉61
　　　 ａ）手術適応 61
　　　 ｂ）検査 61
　　　 ｃ）麻酔 61
　　　 ｄ）体位 61
　　　 ｅ）手術法：microscopic muscle splitting foraminotomy 61
　　　 ｆ）術後管理 63
　　　 ｇ）muscle splitting foraminotomyの長所・短所 63
　　　 ｈ）手術のバリエーション 64
　　2．選択的椎弓形成術 〈谷戸祥之　白石　建　加藤匡裕〉 65
　　　 ａ）対象と方法 65
　　　 ｂ）手術手技 66
　　　 ｃ）結果 67
　　　 ｄ）考察 68
　　3．アパセラムスペーサーとチタン製スクリューを用いた頸椎椎弓形成術 〈高安正和〉 71
　　　 ａ）棘突起スペーサー 71
　　　 ｂ）手術手技 71
　　　 ｃ）強度試験 74
　　　 ｄ）結果 76
　　4．頸椎後方固定術（中下位頸椎）―外側塊スクリュー，椎間関節スクリュー固定術 〈高安正和〉 77
　　　 ａ）手術手技 77
　　5．頸椎椎弓根スクリュー固定 〈湯川泰紹〉 83
　　　 ａ）手術適応 83
　　　 ｂ）術前検査 83
　　　 ｃ）手術方法 84
　　　 ｄ）周術期管理，後療法 86
　　　 ｅ）頸椎椎弓根の解剖学的特徴 87
　　　 ｆ）術前，手術時留意点 88
　　　 ｇ）症例提示 88
　　　 ｈ）各種スクリュー刺入方法と要点 90
　　　Side Memo　脊椎脊髄外科と特定疾患について 〈伊東清志〉 93

2　腰椎に対する手術手技のバリエーション
　A．腰椎椎間板ヘルニアに対する手術手技のバリエーション 94
　　1．ヘルニア手術上級編 〈水野正喜〉94
　　　 ａ）外側型ヘルニア切除 94
　　　 ｂ）手術手技 94
　　　 ｃ）腰椎椎間板ヘルニア手術困難例 96
　　2．MED（microendoscopic discectomy）の基本手術手技 〈今栄信治〉 100
　　　 ａ）基本手術手技 100
　　3．経皮的レーザー髄核蒸散法 〈秋野　実〉106
　　　 ａ）椎間板内治療におけるPLDDの位置づけ 106
　　　 ｂ）理論的根拠と到達路 106
　　　 ｃ）PLDDの基本手技 106
　　　 ｄ）PLDDの成績 108
　　　 ｅ）PLDDの適応 109
　　　 ｆ）PLDDの今後の課題 109
　　　Side Memo　人工椎間板spinal arthroplastyについて 〈尾原裕康〉 112
　B．不安定腰椎の手術 114
　　1．PLIF，TLIF，椎弓根スクリュー固定法〔経皮法（SEXTANT－PathFinder）を含む〕 〈佐藤公治〉114
　　　 ａ）PS法の適応と禁忌 114
　　　 ｂ）固定範囲 114
　　　 ｃ）インプラントの選択 115
　　　 ｄ）open－PS法 115
　　　 ｅ）TLIF法 116
　　　 ｆ）L5／S間の固定；intra－sacral fixation 116
　　　 ｇ）MIS－PS法 117
　　　 ｈ）SEXTANT法 119
　　　 ｉ）PathFinder法 122
　　　 ｊ）椎体間固定術 122
　　　 ｋ）PLIF／TLIFの周術期管理 122
　　　 ｌ）合併症 122
　　2．Mini ALIF 〈森本哲也〉 123
　　　 ａ）適応 123
　　　 ｂ）利点と欠点 123
　　　 ｃ）周術期管理 124
　　　 ｄ）症例提示 124
　　　 ｅ）後腹膜腔アプローチでの手術手順（L2－3，L3－4，L4－5に対応） 126
　　　 ｆ）経腹膜腔アプローチでの手術手順（L5／Sに対応） 128

3　絞扼性末梢神経障害の手術 〈原　政人〉 133
　　1．胸郭出口症候群 133
　　　　　 ａ）解剖 133
　　　 ｂ）手術適応 133
　　　 ｃ）手術方法 133
　　　 ｄ）手術合併症 135
　　2．肘部管症候群 135
　　　 ａ）解剖 135
　　　 ｂ）手術適応 137
　　　 ｃ）手術方法 137
　　　 ｄ）手術合併症 137
　　3．足根管症候群 138
　　　 ａ）解剖 138
　　　 ｂ）手術適応 138
　　　 ｃ）手術方法 138
　　　 ｄ）手術合併症 139
　　　Side Memo　鍼治療 〈佐藤雅美〉 141
　　4　脊髄脊椎腫瘍の手術
　　　A．髄内腫瘍の手術 〈寳子丸　稔〉145
　　　 ａ）アプローチの選択 145
　　　 ｂ）硬膜内の解剖 145
　　　 ｃ）上衣腫の摘出術 146
　　　 ｄ）星細胞腫の手術 148
　　　 ｅ）血管芽細胞腫の摘出術 148
　　　 ｆ）海綿状血管腫 149
　　　 ｇ）脊髄脂肪腫 149
　　　B．脊椎腫瘍 〈徳橋泰明〉152
　　　　1．原発性脊椎腫瘍 152
　　　　　 ａ）良性群 152
　　　　　 ｂ）低悪性肉腫群 153
　　　　　 ｃ）高悪性肉腫群 153
　　　　　 ｄ）造血性腫瘍群 154
　　　　2．転移性脊椎腫瘍 154
　　　　　 ａ）放射線療法 154
　　　　　 ｂ）手術療法 154
　　　　3．腫瘍類似疾患 156
　　　　4．脊椎腫瘍に対する代表的手術術式 156
　　　　　 ａ）後方除圧固定術 156
　　　　　 ｂ）脊椎全摘術 158
　　　Side Memo　脊髄再生のclinical trial 〈服部新之助　原　政人　西村由介〉 162
　　5　頭蓋頸椎移行部の外科的疾患
　　　A．総論 〈高安正和〉 164
　　　 ａ）頭蓋頸椎移行部の機能・解剖の特徴 164
　　　 ｂ）臨床症状 164
　　　 ｃ）画像診断 165
　　　 ｄ）疾患 169
　　　 ｅ）頭蓋頸椎移行部の治療 172
　　　B．病変切除・減圧 174
　　　　1．経口手術 〈高安正和〉 174
　　　　　 ａ）適応 175
　　　　　 ｂ）麻酔・体位 175
　　　　　 ｃ）経口手術操作 175
　　　　　 ｄ）術後管理 179
　　　　2．Lateral approach 〈伊藤昌徳〉 180
　　　　　 ａ）適応・利点 180
　　　　　 ｂ）手術手技 185
　　　　　 ｃ）リスクとリスク回避 192
　　　　　 ｄ）周術期管理 193
　　　C．固定術 〈高安正和〉 194
　　　 ａ）移植骨とワイヤー締結による固定法 194
　　　 ｂ）インストルメンテーション 195
　　　　1．歯突起前方螺子固定法 〈高安正和〉 196
　　　　　 ａ）適応と欠点 196
　　　　　 ｂ）手術手技 196
　　　　　 ｃ）術後管理 197
　　　　2．C1 lateral mass－C2 screw fixation 〈原　政人〉 198
　　　　　 ａ）歴史的背景 198
　　　　　 ｂ）適応 198
　　　　　 ｃ）術前準備 198
　　　　　 ｄ）手術体位 199
　　　　　 ｅ）手術方法 199
　　　　　 ｆ）術後の注意点と後療法 202
　　　　　 ｇ）代表症例 202
　　　　　 ｈ）結論 205
　　　　3．後頭骨頸椎固定 〈高安正和〉 208
　　　　　 ａ）後頭骨－頸椎ロッド・スクリュー固定術 208
　　6　胸椎椎間板ヘルニア・後縦靱帯骨化症の手術 〈花北順哉〉 215
　　　 ａ）胸髄腹側部に存在する病変に対する外科治療のポイント 215
　　　 ｂ）胸髄腹側病変に対する代表的な到達法 215
　　　 ｃ）conventional anterior approach 216
　　　 ｄ）anterior approach with sternal splitting 216
　　　 ｅ）transthoracic anterolateral approach 216
　　　 ｆ）posterolateral approach（transpedicular approach） 220
　　　 ｇ）combined approach 221
　　7　脊髄血管障害の診断・治療・手術手技 〈矢野俊介〉 222
　　　1．脊髄血管解剖 222
　　　　 ａ）動脈系 222
　　　　 ｂ）静脈系 223
　　　2．分類 224
　　　3．診断 225
　　　4．臨床像 225
　　　5．画像診断 225
　　　6．治療 228
　　　　 ａ）dural AVF 228
　　　　 ｂ）perimedullary AVF 229
　　　　 ｃ）intramedullary AVM 231
　　8　先天性疾患の手術手技 〈谷　諭〉 234
　　　1．Chiari奇形と脊髄空洞症に対する手術手技 234
　　　 ａ）大孔部減圧術 234
　　　 ｂ）空洞－くも膜下腔シャント（S－S shunt）術 238
　　　 ｃ）空洞－胸腔シャント術 238
　　　2．二分脊椎に対する手術手技 238
　　　 ａ）脊髄披裂に対する手術手技 238
　　　 ｂ）髄膜瘤に対する手術手技 239
　　　 ｃ）脂肪腫に対する手術手技 239
　　　 ｄ）tight filum terminaleに対する手術手技 240
　　9　脊髄性疼痛・痙縮に対する手術治療 〈佐々木寿之　平　孝臣〉243
　　　1．痙縮に対する脳外科手術 243
　　　 ａ）髄腔内バクロフェン療法 243
　　　 ｂ）選択的脊髄後根遮断術 247
　　　 ｃ）選択的末梢神経縮小術 249
　　　2．難治性疼痛の脳外科手術 252
　　　 ａ）電気刺激療法 252
　　　 ｂ）遮断手術 253
　　10　脊椎ナビゲーション手術 〈水野順一　松島忠夫〉 255
　　　 ａ）脊椎外科手術におけるナビゲーション 255
　　　 ｂ）脊椎ナビゲーション手術の対象 258
　　　 ｃ）症例提示 258
　　　 ｄ）考察 263
　　11　脊椎前方内視鏡手術（MED，PLDDを除く） 〈平泉　裕〉 265
　　　 ａ）解剖学的知識 265
　　　 ｂ）手術室でのセッティング 265
　　　 ｃ）基本的な手術手技 267
　　　 ｄ）適応の選択と禁忌 271
　　　 ｅ）合併症の対策 272
　　　 ｆ）脊椎前方内視鏡下手術の利点 274 　　12　経皮的椎体形成術―我々の工夫と治療成績 〈小泉　徹　木原俊壱　寳子丸　稔〉 275
　　　 ａ）PVPの歴史 275
　　　 ｂ）PVPの目的 275
　　　 ｃ）PVPの適応 276
　　　 ｄ）術前診断 276
　　　 ｅ）禁忌 277
　　　 ｆ）PVPの実際 278
　　　 ｇ）PVPの成績 283
　　　 ｈ）PVPの問題点 283
　　　 ｉ）将来の展望 285
　　13　脊髄脊椎疾患に対する放射線治療 〈加藤徳雄　青山英史〉 288
　　　　1．放射線生物学の基礎 288
　　　　　 ａ）脊髄の放射線による組織反応 288
　　　　　 ｂ）正常組織の回復と再照射 289
　　　　2．代表的疾患における放射線治療 290
　　　　　 ａ）グリオーマに対する放射線治療 290
　　　　　 ｂ）放射線治療計画 290
　　　　　 ｃ）ependymal tumors 291
　　　　　 ｄ）astrocytic tumors 291
　　　　　 ｅ）転移性骨腫瘍に対する放射線治療 292

索　引 295