概要
〈法会文芸〉とは本書であらたに試論として提起される新概念であり、
「法会」を媒介に生み出される文芸の総体を意味する。著者が示すその「総体」は驚くほどの広範囲のおよぶ。
「法会」の場で読まれ、語られ、うたわれ、演じられるテキスト、図像イメージ、言説、所作...。
のみならず法会に参集した人々の思いや願いを綴ったもの、あるいは法会を通じて再創造されたものも含まれる。
本書は、法会の領域をダイナミックに設定し、そこに生み出される力学を丹念に読み解き、
中世の表現の時空を総体として捉えようとする試みである。
中世、多くの文芸は「法会」を媒介に、生成、享受され、再創造され、
また法会に生かされ循環する、絶えざる運動体としてあった--。
『院政期文学論』から3年。
宗教を軸に、どれだけ古代・中世の表現に迫れるのか。
小峯和明最新刊。2009年5月末刊。
目次
【本書の構成】
序 法会の時空--方法としての〈場〉
Ⅰ 法会文芸の世界--古代から中世へ
1 仏教の言葉
2 法会文芸の提唱-- 宗教文化と法会の〈場〉
3 法会文芸の流れ-- 中世前史
4 『東大寺諷誦文稿』の言説--法会唱導の表現
5 『東大寺諷誦文稿』の異世界
6 『日本霊異記』の語戯
7 牛になる人--『日本霊異記』と法会唱導
Ⅱ 安居院の法会唱導世界--澄憲と聖覚を中心に
1 澄憲をめぐる
2 澄憲断章
3 『澄印草等』について--付・翻刻
4 聖覚の言説をめぐる
5 『貞慶表白集』小考
6 『鳳光抄』にみる中世の法華講会
7 その後の安居院--『烏亡問答鈔』から
Ⅲ 表白・願文の表現世界
1 表白の世界
2 『白氏文集』と願文・表白
3 王の生と死の儀礼と法会文芸--堀河院の死と安徳帝の生
4 稲荷の表白二題
5 法勝寺御八講の論義表白--十二巻本『表白集』から
6 『敦煌願文集』と日本中世の法会唱導資料
Ⅳ 法会文芸の表現磁場
1 和歌と法会の言説をめぐって
2 法会唱導と呪歌--和歌をよむ場
3 仏教儀礼と和歌
4 源氏供養--表白から物語へ
5 聖地と願文・表白--『平家物語』の厳島参詣
6 声を聞くもの--法会唱導と大衆僉議
7 文覚の勧進帳
Ⅴ 法会文芸の資料学
1 法会唱導・注釈・聞書の資料学
2 『富楼那集』について
3 『書集作抄』をめぐる
4 金沢文庫の唱導資料のために
付 叡山真如文庫蔵『唱導鈔』翻刻 索引(人名/地名/書名)
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