コメディカルスタッフが、その臨床において非常に重要になる〝人がたどった発達過程に戻って考える〟ための教科書として最適な書。断片的な発達のとらえ方ではなく、螺旋的発達の連続性を重視した人間発達過程の考え方を取り入れた。前半に全般的な人間発達過程を、後半に深く掘り下げたい視覚、ハンドスキル、感覚・知覚・認知、言語、コミュニケーション、対人機能領域を取り上げて詳細に解説した。

目次

1章　人間発達の概念

1　人間発達とは ＜福田恵美子＞　2
　　 1．人間の発達とは 2
　　 2．発達過程と発達期の区分 2
　　 3．発達に関する用語 3
　　 4．発育の4原則 5
2　発達概念の歴史的変遷 ＜福田恵美子＞　6
　　 1．「小さな大人」としての概念時代 7
　　 2．子どもの固有の存在としての認識時代 7
　　 3．ルソーの「エミール」にみる発達概念時代 7
　　 4．「エミール」以降にみる発達概念時代 8
3　発達理論：先人たちの理論の概要 ＜福田恵美子＞　9
　　 1．運動機能の発達 9
　　　 a．ゲゼルの発達理論：成熟優位説 9
　　　 b．マックグローの発達理論 11
　　　 c．エアハルトの発達学的把持理論 12
　　 2．感覚・知覚機能の発達 18
　　　 エアーズの感覚統合理論 18
　　 3．認知機能の発達 18
　　　 ピアジェの発生的認知理論 18
　　 4．心理・社会的機能の発達 19
　　　 a．フロイドの発達理論：心理・性的発達論 19
　　　 b．エリクソンの発達段階（人生の8段階）：人生周期説 19

2章　ライフステージにおける生活活動の発達過程と取り組んでいる課題

1　胎芽・胎児期 ＜福田恵美子＞　22
　　 1．胎芽・胎児の発育過程 22
　　 2．知・情・意の基盤 25
　　 3．異常状態の発現時期 25
2　乳児期 ＜篠川裕子＞　29
　　 1．身体的機能の発達 29
　　 2．運動的機能の発達 33
　　 3．認知的機能の発達 39
　　 4．情緒・社会的機能の発達 42
3　幼児期前期 ＜篠川裕子＞　45
　　 1．身体的機能の発達 45
　　 2．運動的機能の発達 46
　　 3．認知的機能の発達 47
　　 4．情緒・社会的機能の発達 50
4　幼児期後期 ＜篠川裕子＞　51
　　 1．身体的機能の発達 51
　　 2．運動的機能の発達 51
　　 3．認知的機能の発達 52
　　 4．情緒・社会的機能の発達 53
5　学童期 ＜日田勝子＞　55
　　 1．身体・生理的機能の発達 55
　　　 a．身体的発達 55
　　　 b．永久歯 56
　　 2．運動的機能の発達 56
　　 3．認知的機能の発達 57
　　　 a．認知の発達 57
　　　 b．記憶の発達 59
　　　 c．言語の発達 60
　　 4．情緒・社会的機能の発達 62
　　　 a．感情の発達 62
　　　 b．社会性の発達 64
　　　 c．性格的発達 70
6　青年期前期 ＜福田恵美子＞　72
　　 1．身体・生理的機能の発達 73
　　　 a．身体的機能の発達 73
　　　 b．生理的機能の発達 73
　　　 c．健康状態 76
　　 2．認知・心理・社会的機能の発達 77
　　　 a．認知的機能の発達 77
　　　 b．心理・社会的機能の発達 78
　　　 c．生活と意識 80
7　青年期後期 ＜福田恵美子＞　85
　　 1．身体・生理的機能の発達 85
　　 2．認知・心理・社会的機能の発達 85
　　　 a．認知的機能の発達 85
　　　 b．心理・社会的機能の発達 86
　　　 c．健康状態 86
8　成人期前期 ＜外里冨佐江＞　88
　　 1．身体・生理的機能の発達 88
　　 2．心理・社会的機能の発達 89
　　　 a．職業について 89
　　　 b．結婚・出産について 91
　　　 c．育児について 91
　　　 d．虐待について 93
9　成人期中期 ＜外里冨佐江＞　94
　　 1．身体・生理的機能の発達 94
　　 2．心理・社会的機能の発達 95
　　　 a．心理的機能の発達 95
　　　 b．社会的機能の発達 95
　　 3．運動的機能の発達 96
10　成人期後期 ＜外里冨佐江＞　97
　　 1．身体・生理的機能の発達 98
　　　 a．身体的機能の発達 98
　　　 b．生理的機能の発達 98
　　 2．運動的機能の発達 102
　　 3．心理・社会的機能の発達 103
　　　 a．心理的機能の発達 103
　　　 b．社会的機能の発達 104
11　高齢期 ＜外里冨佐江＞　105
　　 1．身体・生理的機能の発達 106
　　　 a．身体的機能の発達 106
　　　 b．生理的機能の発達 108
　　 2．運動的機能の発達 113
　　　 a．姿勢制御 113
　　　 b．歩行 114
　　 3．知的機能の発達 114
　　　 a．知能 114
　　　 b．記憶 116
　　　 c．生活 116
　　 4．心理・社会的機能の発達 117
　　　 a．心理的機能の発達 117
　　　 b．生活・社会的機能の発達 120
　　　 c．個性化と統合 121
　　　 d．死とその受容，信仰 122

3章　ライフステージにおける機能別発達過程と取り組んでいる課題

1　姿勢調整，移動運動 ＜森　直樹＞　126
　　 1．胎児期の運動発達と乳幼児の自動運動の特性 126
　　　 a．胎児の運動発達 126
　　　 b．U字現象 127
　　　 c．ジェネラルムーブメント 128
　　 2．姿勢と運動の制御 129
　　　 a．姿勢反射 129
　　　 b．姿勢調整 130
　　　 c．姿勢調整の段階的発達 131
　　　 d．運動と姿勢の制御レベル 132
　　　 e．姿勢制御と運動発達理論 133
　　　 f．姿勢制御に寄与する感覚機構の発達 134
　　 3．移動運動 138
　　　 a．移動運動の発達 138
　　　 b．歩行制御の仕組み 138
　　　 c．歩行の発達について 139
2　視覚・眼球運動 ＜境　信哉＞　143
　　 1．視覚の発達 143
　　　 a．視覚発達研究の方法 143
　　　 b．胎児期における視覚の発達 145
　　　 c．出生後の視覚の発達 145
　　 2．眼球運動の発達 150
　　　 a．胎児期における眼球運動の発達 150
　　　 b．出生後の眼球運動の発達 151
3　ハンドスキル ＜境　信哉＞　152
　　 1．ハンドスキルの発達に影響する様々な要因 152
　　 2．種々のハンドスキルの発達 152
　　　 a．リーチ 152
　　　 b．把握 154
　　　 c．自発的リリース 157
　　　 d．手内操作スキルとその発達 157
　　　 e．書字，描画からみたハンドスキルの発達 158
4　知覚・認知の機能 ＜村井和之＞　160
　　 1．感覚情報の処理機能 160
　　 2．聴覚 161
　　 3．認知の能力 161
5　言語・コミュニケーションの機能 ＜村井和之＞　162
　　 1．コミュニケーションの基礎 162
　　　 a．記憶の能力 162
　　　 b．模倣の能力 163
　　　 c．音に対する反応 164
　　　 d．泣くこと 164
　　　 e．コミュニケーションのダンス 165
　　 2．言語の獲得 165
　　　 a．喃語 165
　　　 b．身振り語 166
　　　 c．指差し 167
　　　 d．ことばと発達 167
　　 3．会話の発達 168
　　　 a．会話の成立 168
　　　 b．語彙の獲得 170
　　　 c．内容やテーマの発達 170
6　心理・社会的（対人関係）機能 ＜村井和之＞　171
　　 1．情緒の発達 171
　　 2．思考の発達 172
　　　 a．アニミズム 172
　　　 b．自己中心性 172
　　 3．社会性の発達 173
　　　 a．信頼関係の獲得としつけ 173
　　　 b．対人関係 173
　　　 c．社会人への準備 174
　　　 d．交友関係の発達 175

4章　発達検査について

1　発達検査の意義 ＜福田恵美子＞　178
2　発達測定尺度 ＜黒渕永寿＞　180
　　 1．発達検査の目的 180
　　 2．発達検査の種類 180
　　 3．各発達検査の概要解説と検査表 182
　　　 a．一般的発達検査 182
　　　 b．知能発達検査 188
　　　 c．感覚・知覚・認知の処理過程の発達検査 193
索　引 200