日本の朝鮮・台湾支配と植民地官僚
概要
敗戦によって植民地から切り離された日本では、かつて官僚支配の構造が海を越えて植民地にまでおよんでいたことは、ほとんど注目されてこなかった。本書は、近代日本の朝鮮・台湾支配を現地で担った「植民地官僚」に着目して、日本の朝鮮・台湾支配を考察する。国際日本文化研究センターでの共同研究の成果。
目次
Ⅰ 研究の現状
朝鮮における植民地官僚 ―研究の現状と課題―(松田利彦・国際日本文化研究センター准教授)
台湾植民地官僚制について(やまだあつし・名古屋市立大学准教授)
Ⅱ 植民地官僚の出自
植民地朝鮮出身者の官界進出 ―京城帝国大学法文学部を中心に―(通堂あゆみ・東京大学大学院)
朝鮮総督府官僚守屋栄夫と「文化政治」 ―守屋日記を中心に―(松田利彦)
Ⅲ 植民地官僚と政策形成
書房・義塾参考書の制定過程にみる台湾の植民地的近代教育の形成(大浜郁子・法政大学専任講師)
朝鮮総督府・鉱務官僚と朝鮮鉱業会 ―両大戦間期における鉱業保護奨励策を中心に―(長沢一恵・奈良大学非常勤講師)
朝鮮総督府の土木官僚(広瀬貞三・福岡大学教授)
第二次水力調査と朝鮮総督府官僚の水力認識(河合和男・奈良産業大学教授)
朝鮮総督府の逓信官僚とその政策観 ―朝鮮簡保制度の施行を中心に―(福井譲・延世大学校大学院)
植民地期朝鮮の神職に関する基礎的研究 ―戦時体制下の神職任用を中心に―(青野正明・桃山学院大学教授)
Ⅳ 植民地官僚のメンタリティーと政策思想
朝鮮総督府官僚・鈴木穆論 ―その軌跡とメンタリティーをめぐって―(三谷憲正・佛教大学教授)
石塚英蔵総督の台湾統治改革構想 ―台湾経験から見る郡警分離問題―(野口真広・早稲田大学アジア研究機構客員研究員)
ノンキャリア技術官僚と植民地台湾 ―測量技師・野呂寧を中心として―(やまだあつし)
思想検事たちの「戦中」と「戦後」 ―植民地支配と思想検事―(水野直樹・京都大学人文科学研究所教授)
Ⅴ 「帝国」と植民地官僚
田中義一内閣時の朝鮮総督府官制改定問題と倉富勇三郎(永井和・京都大学教授)
政党内閣期における植民地統治 ―植民地長官人事を手掛かりとして―(李炯植・東京大学外国人研究員)
外務省における「外地人」官僚 ―朝鮮人副領事特別任用制度を中心に―(李昇助ア・京都大学人文科学研究所助教)
植民地官僚の台湾振興構想 ―臨時台湾経済審議会から見た認識と現実―(河原林直人・名古屋学院大学専任講師)
日本支配下の東北アジアにおける地方支配と人の流れ ―朝鮮金融組合理事を中心に―(浜口裕子・拓殖大学教授)
満洲国間島省の官僚構成 ―朝鮮総督府との関係を中心に―(廣岡浄進・大阪大学大学院)
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