概要
バリの多様性とは何か?
バリはなぜ変容し続けるのか? バリの伝統の本質とは?
イスラムが多勢を占めるインドネシアにあって、ヒンドゥーを基盤とするバリの位置付けを確認、観光イメージに隠された真の姿を見通す。バリ人の生活へ立ち入ると、その社会が実に多面的な顔をもっていることがわかる。近年のグローバル化の進展とともに、バリ社会の、外に広がるベクトルと内に閉じるベクトルのせめぎ合いが強く感じられる。本書は、混沌とした現代のバリの背景である歴史・文化・社会構造を多様な視角でつなぎ合わせ、バリの現在と将来を包括的かつ具体的に捉える。
目次
はじめに(倉沢愛子/吉原直樹)
◆バリの歴史と政治
絶えざる対立と動揺の現代史(倉沢愛子)
国家と地域住民(鏡味治也)
バリにおける伝統と近代(中村 潔)
ヒンドゥーとイスラームの調和的共存(倉沢愛子)
バリの諸王国(鏡味治也)
スカルノとバリの「神話」(中村 潔)
アジェグ・バリ(吉原直樹)
◆観光とコミュニティの変遷
観光リゾート都市バリの光と影(今野裕昭)
バリ・コミュニティと多元的集団構成(吉原直樹)
ツーリズムと地域治安体制(菱山宏輔)
バリ下層社会(永野由紀子)
爆弾テロ(菱山宏輔)
デンパサール(吉原直樹)
クタとヌサ・ドゥア(今野裕昭)
◆伝統のなかの人びと
エスニシティと移住者(永野由紀子)
「女の仕事にはきりがない」(中谷文美)
娯楽化するワヤン(梅田英春)
競争のなかのバリのテレビ放送(内藤 耕)
まなざしの交錯とバリ島の村落社会(伊藤嘉高)
アスタ・コサリ(鏡味治也)
スバック(永野由紀子)
ガムラン(ワヤン(梅田英春)
カスタと親族(中村 潔)
バリの暦(中村 潔)
◆ことばと「異国」
バリ語における尊敬語・謙譲語(ニ・ヌンガー・スアルティニ)
バリ言語社会の構成とバリ人の言語使用(原真由子)
ジャカルタから見た「異国」バリ(上野太郎)
バリの日本人(吉原直樹/イ・マデ・センドラ/イ・マデ・ブディアナ)
アグン山(ニ・ヌンガー・スアルティニ)
むすびにかえて編者(倉沢愛子/吉原直樹)
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