書籍・雑誌

皆様の研究・教育活動を支えます ー お取り扱いサービス

書籍・雑誌

実験医学 2009年2月号 Vol.27 No.3

実験医学 2009年2月号 Vol.27 No.3
著者/訳者名

松居 靖久 /企画

出版社 羊土社
発行年月日 2009年01月01日
ISBNコード 9784758100441
定価 ¥1,980(税込)

カートへ

概要

生殖細胞の分化と維持を司る分子機構をご紹介!転写抑制,small RNAによる調節,自己複製能の維持といった制御メカニズムを持ち,遺伝情報を次世代へと伝える生殖細胞の最新研究をご執筆いただきました!

目次

特集
生命の永続性を司る
生殖細胞サイクル
転写,small RNAによる制御機構と生殖幹細胞の維持
企画/松居靖久
■サマリーを表示する
企画者の言葉【松居靖久】
生殖細胞サイクルとは,受精卵が発生を開始し,胚のなかで生殖細胞ができ,やがてそれが精子と卵子に分化して,再び受精卵に戻ってくるサイクルのことを意味している.分化した結果,ふりだしに戻る生殖細胞の性質は多岐にわたる巧妙な分子メカニズムにより制御されている.このうちで,胚発生の早い段階で起こる生殖細胞の分化運命決定,その後に形成される生殖幹細胞の維持,そして減数分裂を経て起こる半数体の配偶子の形成の3つのステップの制御が,最近の研究により解き明かされはじめている.
生殖細胞形成過程における体細胞遺伝子発現抑制機構【羽生(中村)賀津子/中村 輝】
多くの動物種において,生殖細胞となる細胞(始原生殖細胞)は胚発生の早い時期に形成され,体細胞とは明確に区別されることが知られている.最近の研究から,線虫,ショウジョウバエ,マウスの生殖細胞形成過程に共通にみられる特徴の1つとして,体細胞分化プログラムを抑制する転写制御機構の存在が明らかになってきた.このような転写抑制にかかわる分子の機能解析が進み,生殖細胞の形成・確立機構について,動物種間での共通点,相違点を議論することが可能になりつつある.
哺乳類の生殖細胞形成を制御する分子機構【栗本一基/山路剛史/関 由行/斎藤通紀】
生殖細胞は,ゲノム情報を次世代へと正確かつ多様に継承する役割を担う.哺乳類のモデル生物マウスの始原生殖細胞は胚体外組織からのシグナルを受け多能性の胚性外胚葉から分化する.近年,生殖細胞形成の最初期に発現し,決定的な役割を果たす遺伝子Blimp1とPrdm14が同定され,また単一細胞cDNA マイクロアレイ法により遺伝子発現動態の全容が解明された.これら一連の研究を通してマウス生殖細胞決定過程の実態が明らかになりつつある.本稿では,最近の知見を含めて概説したい.
哺乳類精子形成の継続性を保証する幹細胞メカニズム【中川俊徳/吉田松生】
哺乳類の精巣では生涯にわたって大量の精子が産生され続けている.これは,精子形成幹細胞システムにより保証されている.しかし,このシステムを担う細胞の実体やそのふるまいについてはほとんどわかっていない.一般に「幹細胞」は,成体組織内で分化細胞を供給することにより恒常性維持を支える細胞と考えられる.一方,多くの系で,移植実験後に分化コロニーを形成する細胞として「幹細胞」を捉えられている.では,これら2つの実験で検出される「幹細胞」は,同じ細胞なのだろうか?哺乳類の精子形成は,この問いに答えることのできるユニークな系である.われわれは,「正常の精子形成で機能する幹細胞(actual stem cells)」を検出するパルス標識実験を確立し,これを「精細管内移植によって検出される幹細胞(transplantable stem cells)」と比較した.その結果,この2つの「幹細胞」は異なる細胞集団であることが明らかとなった.さらに,正常組織で自己複製するactual stem cells に加え,幹細胞の能力を潜在的に有するが通常は自己複製しないpotential stem cells が存在し,幹細胞システムはこれらの階層からなることが示唆された.これは,actual stem cells の機能が失われたときpotential stem cells がその穴を埋めることを可能とし,精子形成が継続して進行するうえで都合のよいシステムである.
生殖細胞の生と性を支配する因子Nanos タンパク質【相賀裕美子】
生殖細胞を既定する分子のなかでも種を超えて,生殖細胞の生存に必須で重要な役割を果たす因子の1つがNanos である.これまでのいくつかの種におけるNanos タンパク質の解析から,種を超えて保存されている機能と,それぞれの種で独自に進化してきた機能という2つの側面がみえてきた.それぞれの機能に関しての分子機構にも共通原理と多様性とがあるのではないかと考えているが,それらを既定している原理はまだ明らかになってはいない.ここではマウスのN a n o s の機能に焦点を当てるが,特に生殖細胞の性分化制御におけるNanos2 の特異的な機能について考察したい.
マウス生殖細胞で発現するsmall RNA の機能【宮川(倉持)さとみ/渡部聡朗】
piRNA は生殖細胞特異的に発現するsmall RNA であり,PIWI ファミリータンパク質に結合する.多くの生物種において,piRNA やPIWI タンパク質はレトロトランスポゾンの抑制に関与していることがわかってきた.マウスの精子形成過程においては,レトロトランスポゾンの転写制御領域のde novo DNA メチル化を介して,転写レベルで発現を抑制していると考えられる.また,卵形成過程においては,piRNA のみならず内在性のsiRNAも存在し,協調してレトロトランスポゾンの抑制や母性mRNA の分解にかかわっている.
iRNA プロセシングの場:ヌアージュ【甲斐歳恵/Jun Wei PEK】
動物生殖細胞は,核膜付近にヌアージュとよばれる電子密度の高い構造体をもっている.その存在は非常に古くからよく知られているが,それが生殖細胞に果たす機能は長い間未知であった.最近になって,ヌアージュ構成分子はRNA サイレンシングによってレトロトランスポゾンを発現抑制するために必要であることが報告された.生殖細胞では,生殖細胞に特異的なpiRNA(Piwi- interacting RNA)とよばれるsmall RNA が,転写および転写後制御において遺伝子発現の調整に大きな役割を果たしている.本稿では,このpiRNAの生合成の場としてのヌアージュの機能を提唱し,それぞれの構成分子の役割について議論したい.
トピックス
カレントトピックス
Lys63結合型ポリユビキチン鎖の選択的切断の構造的基盤【深井周也/佐藤裕介/吉川 梓】
損傷自己細胞を感知するC型レクチンレセプターMincle【山崎 晶/斉藤 隆】
ゴルジ装置の酸性化とその機能に必須である新規イオンチャネルGPHRの同定【前田裕輔】
乳癌の薬剤耐性を担うRPN2の発見と機能解析【本間紀美/落谷孝広】
News & Hot Paper Digest
マイクロRNAが脊髄小脳変性症1型の病態に関与
高効率遺伝子トラップ法による中枢神経系の遺伝子発現プロファイリング
インスリン受容体シグナルとGLUT4小胞輸送系との接点
バイオ製薬企業Archemix社がNitroMed社に逆さ合併を提案
連載
クローズアップ実験法 Overview
バイオイメージングを指向した新しいタンパク質標識法【山本晃康/田中 勉/長棟輝行】
疾患解明 Overview
単純ヘルペス脳炎【亀井 聡】
私の発見体験記
錐体杆体ホメオボックス遺伝子Crx【古川貴久】
ラボレポート-独立編-
ミネソタン流ラボライフ【朝倉 淳】
関連情報

* 人材/大学院/セミナーなどの情報

検索結果一覧に戻る

  • G_navi_06
  • お取り扱いサービス
  • G_navi_08
  • G_navi_09
  • G_navi_10
  • G_navi_11