概要
翁のかたちをとる神やそれらをめぐる習俗には、異なる文化圏の影響が色濃く見られる。日本では、渡来神をはじめとする韓半島の文化を、あるものは受け入れ、あるものは排除しながら伝承してきたのである。
本書では、中世の翁信仰の生成過程を諸縁起や史料から読みとることで、そこに色濃く反映された韓半島からの渡来文化の姿を見いだし、さらに日本芸能のルーツである翁猿楽の成立についても、韓半島のシャーマニズム文化の影響を指摘する。
日本の基層文化の形成を韓半島の文化との交渉の中から根本的に考え直すことにより、日本と韓半島との文化交流の、中世における新たな相貌を浮かび上がらせる意欲作。
目次
はじめに
第一章 古代の翁
一 塩土老翁
二 椎根津彦
(1)道案内の国つ神
(2)服属芸能と物真似と「笑い」
三 伝承を語る翁
第二章 住吉信仰圏の翁
一 住吉明神の示現
(1)姿をあらわす神
(2)童子や翁としての示現
二 翁としての住吉明神
(1)住吉信仰圏にみられる翁
(2)住吉明神像と白楽天・人麿
三 住吉明神と赤山明神
四 金春禅竹の『明宿集』と住吉明神
第三章 中世の翁
一 地主神と翁
(1)山神と翁
(2)仙人と翁
二 道祖神と翁
第四章 秦氏集団の信仰と翁の生成
一 秦氏にかかわる信仰と翁
(1)八幡信仰
(2)稲荷信仰
(3)松尾信仰
(4)走湯山信仰
二 渡来の翁神
(1)翁神の船中影向
(2)渡来神の本領
第五章 韓半島の山岳信仰の流入
一 役小角と韓半島の山岳信仰
二 新羅の花郎文化と彦山修験
(1)花郎文化と弥勒信仰
(2)彦山修験に流れ込んだ花郎文化
第六章 翁と童子――韓日比較文化論――
一 翁と童子の交流
二 脱解・処容伝説と秦河勝伝説の近似性
(1)童子漂着譚と守護神化
(2)処容舞と翁舞の芸能上の共通点
第七章 道教的呪術文化の受容と排除
一 幻術とそのルーツ
二 幻術の日本伝来と展開
(1)『今昔物語集』に流れ込んだ幻術
(2)芸能的な幻術
(3)道教的な幻術
三 排除される道教文化
(1)道教排除の原理
(2)幻術から天狗道への転生
あとがき/索引
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