概要
ゴム・エラストマーは他の材料に比較して、超低弾性率、可逆的大変形、粘弾性など顕著な物性を持つため、自動車、ロボット、情報通信など、あらゆる面で利用されている。近年ではこの材料の性能と寿命は飛躍的に向上し、新規な用途も拡がりつつある。本書では、基礎と応用の両面から、本技術を詳述する。
目次
はじめに(西敏夫)
【第I編 総論】
第1章 表面・界面の基礎物性(村瀬平八)
1. はじめに
2. 材料のバルクと表面
3. 表面自由エネルギーと内部エネルギーとの関係
4. 分子間力―近接力と遠達力
5. HSAB理論と各種パラメータとの相互関係
6. 実用上の問題―接着の要因
7. おわりに
【第II編 ナノスケールで見たゴム・エラストマーの界面】
第2章 ゴム・エラストマーの界面・表面の理論・シミュレーション(森田裕史)
1. はじめに
2. 主なシミュレーション技術
2.1 粗視化分子動力学法
2.2 自己無撞着場(SCF)法
2.3 方法に関するまとめ
3. 表面・界面におけるモルフォロジー解析
3.1 相分離構造
3.2 ブレンド系薄膜における相分離構造
3.3 界面における鎖の分布と特性解析
3.4 界面におけるポリマーの特定部位(末端)の分布
3.5 平らな固体基板に対する鎖の吸着
3.6 トリブロックポリマー界面における鎖
4. 物性解析のためのシミュレーション
4.1 界面剥離強度
4.2 引っ張り強度
5. おわりに
第3章 ゴム・エラストマーのナノスケールで見た界面・表面の特徴(高原淳)
1. はじめに
2. ポリマーブレンドの表面構造
3. ブロック共重合体
4. 表面のダイナミクス
5. おわりに
第4章 ゴム・エラストマーにおける高分子3次元ナノ計測(陣内浩司)
1. はじめに
2. 三次元構造解析の重要性
3. ゴムを成分とするブロック共重合体の三次元ナノ計測
3.1 試料および実験方法
3.3.1 ブロック共重合体
3.3.2 三次元電子顕微鏡観察
3.2 三次元構造解析
3.2.1 結晶構造解析
3.2.2 微分幾何学的解析
3.2.3 積分幾何学的解析
4. 今後の展望
第5章 分子力学特性から見たゴム・エラストマー(小村元憲,西敏夫)
1. はじめに
2. 原子間力顕微鏡(AFM)
3. 高分子ブレンド系のナノ力学物性
3.1 ナノレオロジー(フォースカーブ測定)
3.2 ナノトライボロジー(フリクションループ測定)
4. 単一高分子鎖のナノレオロジー
4.1 単一高分子鎖の伸張
4.2 単一高分子鎖の正弦波力学応答
5. おわりに
【第III編 ミクロで見たゴム・エラストマーの界面と機能】
第6章 走査型プローブ顕微鏡によるポリマー界面,高次元の解析と応用(岸本浩通)
1. はじめに
2. SPMの原理
3. 試料表面,探針形状および大気粘性の影響
4. 界面厚み測定の問題点
5. ブロックコポリマーの界面解析
6. ポリマーブレンドの界面解析と物性
7. 応力負荷状態でのポリマーブレンド解析
8. おわりに
第7章 リアクティブプロセシングとポリマーの相構造(酒井忠基)
1. 成形加工技術を用いた相構造の発現
2. リアクティブプロセシングに用いられる混練装置
3. 混練押出機における混合と混練
4. 押出機における構造形成過程の可視化
5. オンラインでの微細相構造形成過程の可視化
6. 超臨界流体の構造制御への活用
7. 超臨界流体とリアクティブプロセシングとの組み合わせ技術の活用
第8章 ゴム・エラストマーの界面と接着機能(森邦夫)
1. はじめに
2. 金型中におけるゴム界面と化学構造
3. ゴム-ゴムの接着界面
4. ゴム-金属間の界面
5. おわりに
第9章 オレフィン系ポリマーアロイの界面と発現物性(鷲山潤一郎)
1. はじめに
2. 高分子界面の熱力学
2.1 高分子/高分子界面系
2.2 ブロック共重合体を含む高分子界面
2.2.1 セグリゲーション
2.2.2 SCMF法
2.2.3 ミセル形成
2.3 相容化剤を含む系のモルフォロジー
3. 高分子界面強度
3.1 界面の破壊力学
3.2 界面強度測定方法
3.3 界面破壊機構
4. ポリプロピレン系アロイ
4.1 界面張力とモルフォロジー
4.2 モルフォロジーの時間変化
4.3 PPとエラストマーの界面強度と物性
4.4 PP系アロイの塗装性
5. おわりに
第10章 相容化剤によるゴムブレンドのモルフォジー変化と物性(川面哲司)
1. はじめに
2. ブロックポリマー添加による相容化
3. ゴムブレンドの相容化剤として有効なジブロックポリマーの条件
4. 相容化によって変化する物性
5. 今後の展望
第11章 界面制御によるナノマトリックス分散天然ゴムの調製と物性(河原成元)
1. はじめに
2. 天然ゴムの構造
3. 天然ゴムの高純度化
3.1 蛋白質
3.2 脂質
4. 天然ゴムの結晶化および物性
4.1 天然ゴムの結晶化における脂肪酸の効果
4.2 天然ゴムの物性における脂肪酸の効果
4.3 天然ゴムブレンドの結晶化
5. ナノマトリックス分散天然ゴム
5.1 ラジカル重合開始剤
5.2 天然ゴムのグラフト共重合
5.3 ナノマトリックス分散天然ゴム
6. おわりに
【第IV編 界面制御と機能化】
第12章 ゴム再生プロセスにおける界面制御と機能化(佐藤紀夫)
1. はじめに
2. ゴム再生プロセスの原理
2.1 二軸反応押出による脱架橋処理
2.2 再生ゴムの加硫特性と力学特性
2.3 脱架橋メカニズム
3. 再生/変性の同時プロセスによる機能化
4. 再生/動的架橋の同時プロセスによる熱可塑性エラストマ化
5. 再生/スラリー注入の同時プロセスによるナノコンポジット化
6. おわりに
第13章 ゴム・エラストマー系複合材料の界面(西敏夫)
1. はじめに
2. ゴム・エラストマーブレンド系主体の界面
2.1 ポリマーブレンドの界面
2.2 ブロックまたはグラフト共重合体の界面
2.3 ゴムブレンドの界面(共架橋に関連して)
2.4 その他
3. ゴム・エラストマー系複合材料の界面
3.1 複合効果
3.2 ナノスケールでの界面
3.3 分子運動性から見た界面
4. 今後の展開
第14章 ゴム・ブラス接着界面の解析(加藤信子)
1. はじめに
2. スチールコードの製法
3. スチールコードの表面
4. ゴムとブラスの加硫接着
5. ゴム/ブラス接着層の解析技術
6. 剥離界面の表面分析
7. TEMによるゴム/ブラス接着層の分析
8. FIB-TEMによる接着層解析
9. SEM,X線回折による生成物の形態,結晶解析
10. TOF-SIMSによる接着層の解析
11. おわりに
第15章 水添NBR系ナノコンポジットの界面制御と物性(佐藤隆)
1. はじめに
2. パーオキサイド架橋反応
3. 架橋反応解析のための実験手法
4. シミュレーション手法
5. 純ゴム配合の計算結果
6. 水添NBR/メタクリル酸亜鉛(ZDMA)系
7. 水添NBR/メタクリル酸亜鉛(ZDMA)系の計算結果
8. ZSCの界面構造と物性
第16章 ゾル-ゲル法によるゴム系ナノコンポジットの合成と物性(池田裕子)
1. はじめに
2. ゴム架橋体中で作製したin situシリカ充填ゴム系ナノコンポジット
3. 未架橋ゴム中で作製したin situシリカ充填ゴム系ナノコンポジット
3.1 グリーンゴムマトリックス中でのin situシリカ充填
3.2 ゴムの有機溶液中で作製したin situシリカ充填ゴム系ナノコンポジット
3.3 ゴムラテックス中で作製したin situシリカ充填ゴム系ナノコンポジット
4. ゾル-ゲル反応に基づくネットワークス化によって作製するゴム系ナノコンポジット
5. おわりに
第17章 熱可塑性エラストマーの界面と物性(加藤清雄)
1. 熱可塑性エラストマーのミクロ相分離構造と界面
2. TPE界面と力学的性質
3. TPE界面と熱的性質
4. スチレン系TPEの界面と機械物性・溶融特性
5. 環状オレフィン系TPEの界面と機械物性・溶融特性
6. TPEとポリプロピレン系樹脂との界面と物性
7. 熱可塑性エラストマーフィラーハイブリッド材料の界面と物性
第18章 ゴムの動的エネルギー損失特性―充填剤とゴム分子との界面現象に起因する―(平川弘)
1. はじめに
2. 充填剤含有ゴム材料の動的特性
3. F-F相互作用の変化
4. 動的エネルギー損失を制御するメカニズム
第19章 免震ゴムの機能と動向(須藤千秋)
1. はじめに
2. 免震の原理
2.1 構造物の地震応答
2.2 長周期化
2.3 減衰
2.4 免震装置
2.5 積層ゴムの原理
2.6 積層ゴムの力学的性能
3. 免震ゴムの機能と要求性能
3.1 鉛直荷重支持性能
3.2 等価剛性の精度
3.3 使用条件依存症
3.4 変形性能
3.5 長期的耐久性
4. 最近の動向
4.1 超高層ビルの免震
4.2 依存性の設計への反応
4.3 経年劣化特性推定手法の実証
4.4 ISO22762の起案
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