貧困という監獄
概要
◆「監獄」の膨張に歯止めをかけられるか◆
日本でも、安全・安心街づくりの引き合いに出される「ゼロ・トレランス」。
軽犯罪をも厳重に取り締まることで犯罪率が低下し、治安悪化を防ぐというこ
の考え方は、NY警察から世界中に広まり、本国アメリカでは逮捕者が急増、
刑務所はパンク状態だそうですが、この政策は、労働市場の底辺層(下層階級
や移民)が標的で、貧乏人には福祉手当ではなく監獄をあてがう(貧困を犯罪
化する)方が国家予算を削減できて効率的という発想に支えられ、国家の社会
福祉機能の脆弱さと表裏一体なのです。本書はこのような国家体制を痛烈に批
判し、公の「社会的機能」創出の緊要性を喝破した、仏の大ベストセラーです。
著者はP・ブルデュー門下のフランス出身の社会学者で、現在は米国カリフォ
ルニア大学バークレー校教授。本年12月中旬の世界社会学会、東京国際会議のため初来日します。
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