概要
◆実践から描き出す、私たちの心◆
私たちは、心について考えたり語ったりするとき、それをつい個人の能力や性質として見てしまいます。しかし、私たちが他者の感情を読み取ったり動機を推し量ったりするのは、さまざまなやりとり、すなわち実践においてです。心は、実践の中でその形を表すのです。本書は、歯科や看護、検査、言語療法など、ひろい意味での医療の現場における実践において、動機、感覚、感情、記憶などがどのように使用されているかに焦点を合わせながら、私たちの「心の文法」をつまびらかにしていきます。社会学、心理学、言語学、哲学、また、研究の対象領域である医療など、幅広い分野からの関心を呼ぶものと期待されます。著者は、好評入門書『ワードマップ エスノメソドロジー』の編者のひとり。
目次
はじめに
第I部 心の理解可能性
1章 行為記述の理解可能性
2章 私的経験の理解可能性
第II部 感情と経験
3章 共感の理念と感情の論理文法
4章 感情を配慮する実践
5章 傾聴活動の論理文法
第III部 記憶と想起
6章 失語症研究と想起の論理文法
7章 生活形式としての失語症
8章 経験の記憶の語り
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