国事多難の時代，長い年月を陣営で過ごさざるを得なかったマルクス帝は，ごく私的な1冊の手記を残した．そこには現実と必死に向き合った一人の悩める人間が，ストア哲学を身をもって生きた姿があった．この書物を，ストア哲学という主題が転調を重ねつつ反復・展開し響いていく変奏曲として味わいながら，人生における読書の意味をも考える