概要
我が国が世界をリードする高機能・高性能繊維について,その製造・加工技術,環境調和技術,そして応用技術を第一線の研究者・技術者によって詳述する。特に注目の応用分野
について詳述。繊維技術開発においても必要不可欠な環境調和を志向する最新技術を掲載している。
目次
第1章 高機能・高性能繊維の課題と展望(梶原莞爾)
1. はじめに
2. 高性能繊維の開発状況
3. 高性能繊維の開発状況
4. 高機能・高性能繊維の展望
第2章 高機能・高性能繊維の製造・加工技術
1. 高機能繊維と紡糸技術(鞠谷雄士)
1.1 はじめに
1.2 断面形態制御
1.3 繊維長さ方向形態制御
1.3.1 貼合型複合繊維の断面形態制御による捲縮挙動変化
1.3.2 貼合型複合繊維の紡糸・延伸で生じる捲縮挙動
1.4 繊維長さ方向太細制御
1.4.1 ネッキングの利用
1.4.2 ドローレゾナンスの利用
1.4.3 外場変調の利用
1.5 おわりに
2. ナノフィブリル化技術(鞠谷雄士)
2.1 はじめに
2.2 単分子繊維
2.3 自己組織化によるナノフィブリル化
2.4 単成分溶融紡糸における極細化の限界
2.5 溶液紡糸による極細繊維の製造
2.6 ブレンド紡糸を利用した極細繊維の製造
2.7 複合紡糸を利用した極細繊維の製造
2.8 おわりに
3. 高機能ナノ複合化技術(白鳥世明)
3.1 はじめに
3.2 酸化チタンナノファイバを用いた色素増感太陽電池
3.3 ポリマーコンポジットナノファイバによる高撥水素材
3.4 まとめ
4. エレクトロスピニングによる天然・生体関連高分子微細繊維材料創出(大川浩作)
4.1 はじめに
4.2 天然・生体関連高分子のES研究
4.3 合成ポリ(L-アミノ酸)
4.3.1 天然タンパク質繊維研究との接点
4.3.2 PBLGおよびPZLLのエレクトロスピニング
4.4 セルロースおよびキトサン
4.4.1 直接ES
4.4.2 セルロースESNW
4.4.3 キトサンESNW
4.5 微細繊維材料の用途開発
4.5.1 薬物徐放性担体としての天然多糖ESNW
4.5.2 生体硬組織工学材料としてのゼラチン-リン酸化ポリペプチド複合ESNW
4.6 おわりに
5. 低分子の形成する自己組織化ファイバー(英謙二,白井汪芳)
5.1 はじめに
5.2 低分子ゲル化剤の特徴とゲル形成
5.3 ゲル化と結晶化の類似性
5.4 ゲル化剤の自己組織化
5.4.1 シクロヘキサンジアミン誘導体
5.4.2 アミノ酸誘導体
5.4.3 二成分型ゲル化剤
5.4.4 環状ジペプチド誘導体
5.4.5 cis-1,3,5-シクロヘキサントリカルボキサミド誘導体
5.5 おわりに
6. 電子線照射技術による繊維の加工(堀照夫,奥林里子)
6.1 はじめに
6.2 電子線照射技術の繊維加工への応用
6.3 電子線グラフト重合の原理
6.4 撥水繊維
6.5 光触媒担持繊維
6.6 金属吸着繊維
6.7 耐熱性ポリ乳酸繊維
6.8 天然高分子固定化繊維
6.9 おわりに
7. 超臨界二酸化炭素流体を用いる繊維加工(堀照夫,久田研次)
7.1 はじめに
7.2 超臨界流体とこれを媒体とする染色法
7.3 超臨界流体を用いる繊維・高分子の機能加工
7.4 超臨界流体を用いる繊維・高分子表面の複合化
7.5 超臨界流体を用いる繊維・プラスチックのめっき
7.6 その他の研究
8. レーザー加熱延伸(大越豊)
8.1 レーザー加熱の特徴
8.2 レーザー加熱延伸の利用
8.3 まとめ
9. インクジェット捺染(濱田州博)
9.1 繊維の染色
9.2 デジタルインクジェット捺染システム
9.3 インクジェット捺染に使用される染料と前処理法
9.4 インクジェット捺染布の染色堅ろう度
9.5 インクジェット抜染
9.6 インクジェット捺染への機能性インクの応用
10. 開繊技術と複合材料(川邊和正)
10.1 はじめに
10.2 開繊加工方法とそのメカニズム
10.3 開繊糸シート製造技術の開発
10.4 薄層プリプレグシートによる擬似等方積層板の力学的特性
10.4.1 引張特性
10.4.2 圧縮特性
10.5 まとめ
第3章 環境調和技術の開発と展望
1. バイオインテリジェントファイバー(宮本真敏)
1.1 バイオインテリジェントファイバーとは
1.2 天然繊維の高機能化
1.3 生分解性繊維の高機能化
1.3.1 耐熱性の向上
1.3.2 易分解性
2. セルロースシングルナノファイバー(磯貝明,齋藤継之)
2.1 はじめに
2.2 天然セルロースのTEMPO触媒酸化
2.3 TEMPO酸化セルロースのシングルナノファイバー化
2.4 TEMPO酸化セルロースシングルナノファイバーの特性
2.5 おわりに
3. α・βキチンナノファイバー(齋藤継之,范一民,磯貝明)
3.1 はじめに
3.2 TEMPO触媒酸化によるキチンのナノファイバー化
3.3 アミノ基のプロトン化によるキチンのナノファイバー化
3.4 おわりに
4. ポリエステル繊維の循環型リサイクルシステム(大河原茂)
4.1 はじめに
4.2 帝人グループの取組み
4.2.1 リサイクル活動の歩み
4.2.2 ポリエステルの特徴と,「新原料リサイクル技術」
4.3 環境負荷低減評価結果
4.4 「繊維to繊維(R)」リサイクル
4.5 「エコサークル(R)」システム
4.6 おわりに
5. クモの糸を吐く蚕(中垣雅雄)
5.1 はじめに
5.2 クモの糸とは
5.3 「クモの巣」を構成するクモ糸の種類
5.4 「クモ糸」と他繊維との性能比較
5.5 クモ糸の想定される用途
5.6 クモ糸タンパク質の構造
5.7 クモ糸の量産
5.8 糸を吐く虫,カイコ
5.9 カイコが吐く糸,絹タンパク質の構造
5.10 クモ糸遺伝子のカイコへの導入
5.11 スパイダーソックスの試作
5.12 今後の展開
6. 生体に学び進化する高機能繊維(鈴木東義)
6.1 はじめに
6.2 高機能繊維の歴史
6.3 生体の構造・機能と高機能繊維
6.4 生体に学ぶ高機能繊維の開発事例─主に帝人ファイバーを例にして
6.4.1 多孔吸水性ポリエステル繊維「ウエルキィ(R)」
6.4.2 鮮明・深色性マイクロボイド構造ポリエステル繊維「シルフィル(R)」
6.4.3 半練絹調,柞蚕調ポリエステル繊維「シルドーム(R)」
6.4.4 高中空ポリエステル繊維「エアロカプセル(R)」
6.4.5 超撥水性ポリエステル繊維「マイクロフト(R) レクタス(R)」
6.4.6 構造発色繊維「モルフォテックス(R)」
6.4.7 自己調節機能繊維「MRTファイバー」
6.5 おわりに
7. ヘミセルロース繊維集合体(松本陽一)
7.1 はじめに
7.2 コンニャク・グルコマンナン繊維
7.3 葛根繊維集合体
8. 中空糸型分離膜の開発(有地章浩)
8.1 はじめに
8.2 中空糸型分離膜の機能と構造
8.3 相分離法による中空糸膜形成
8.4 三酢酸セルロース製逆浸透膜
8.5 ポリエーテルスルホン製限外ろ過膜
8.6 ポリフッ化ビニリデン製精密ろ過膜
8.7 中空糸型分離膜モジュールの適用と開発動向
8.8 おわりに
第4章 応用技術
1. ダイレクトメタノール燃料電池(小山俊樹)
1.1 はじめに
1.2 触媒担体
1.3 拡散電極
1.3.1 カーボンニット拡散電極を用いたDMFCの特性評価
1.3.2 カーボンナノファブリック拡散電極を用いたDMFCの特性評価
1.4 まとめ
2. 導電性高分子ポリアニリンの湿式太陽電池への応用(倉本憲幸)
2.1 湿式太陽電池と導電性高分子
2.2 導電性高分子ポリアニリンの位置づけ
2.2.1 ポリアニリンの二次電池への応用
2.2.2 ポリアニリンの人工筋肉アクチュエーターとしての応用
3. オプトエレクトロニクス繊維(谷口彬雄,宇佐美久尚)
3.1 はじめに
3.2 光通信用有機LED
3.2.1 光通信用高速パルス駆動有機LED
3.2.2 ファイバー型有機発光ダイオード
3.3 漏光型光触媒ファイバー
4. 再生医療と高分子材料(松田晶二郎,加藤功一)
4.1 はじめに
4.2 生体吸収性材料
4.2.1 医療機器用途に使用される生体吸収性高分子
4.2.2 生体吸収性高分子の再生医療への応用
4.3 タンパク質性繊維材料
4.3.1 繊維形成モチーフ
4.3.2 コイルドコイルを利用した足場材料
4.3.3 βシートからなるフィブリルを利用した足場材料
4.3.4 遺伝子組換え型バイオマテリアルの課題
5. ヘルスケア用機能性繊維(築城寿長)
5.1 健康社会を目指して
5.2 これまでのヘルスケア繊維
5.3 薬事法上の制限
5.4 一歩進んだヘルスケア用機能性繊維
5.5 これからのヘルスケア用機能性繊維
6. 繊維型DNAチップ(秋田隆)
6.1 フォーカストアレイ
6.2 DNAの高次構造形成
6.3 ハイブリダイゼーション
6.4 繊維型DNAチップ
6.5 繊維型DNAチップの用途
6.6 まとめ
7. 競泳水着における新材料(松﨑健)
7.1 競泳用水着の要求特性
7.2 スイマーの受ける抵抗
7.3 表面摩擦抵抗の削減
7.4 形状抵抗の削減
8. 繊維による空気浄化(林敏昭)
8.1 はじめに
8.2 濾過
8.2.1 繊維層濾材の濾過原理
8.2.2 エレクトレット濾材
8.3 吸着
8.3.1 吸着原理
8.3.2 活性炭素繊維
8.4 おわりに
9. 膜利用水処理技術(辺見昌弘)
9.1 はじめに
9.2 RO膜・NF膜
9.2.1 海水淡水化
9.2.2 下水再利用
9.3 UF膜・MF膜
9.4 膜分離活性汚泥法
9.5 統合型膜分離システム
9.6 膜利用水処理技術の課題
10. 炭素繊維による自動車軽量化(遠藤真)
10.1 はじめに
10.2 炭素繊維の特性・製造方法・成形加工方法
10.2.1 炭素繊維の特性
10.2.2 炭素繊維の製造方法
10.2.3 炭素繊維の成形加工方法
10.3 炭素繊維による自動車軽量化
10.3.1 射出成形
10.3.2 プレス成形
10.3.3 フィラメントワインディング成形
10.3.4 レジントランスファー成形
10.3.5 最近の技術開発動向
10.4 炭素繊維・複合材料のリサイクル
10.5 おわりに
11. 自動車用排ガス処理装置(阪本吉弘)
11.1 はじめに
11.2 自動車の排ガス規制動向
11.3 排ガス処理装置
11.3.1 排ガス処理機能
11.3.2 排ガス処理装置の開発動向
11.4 触媒コンバーター・DPFの構造と材料要求特性
11.5 無機繊維の利用分野
11.6 把持材
11.6.1 把持材の種類
11.6.2 把持材用繊維
11.7 把持材の要求特性と材料選択
11.8 まとめ
12. e-Textile(山崎義一)
12.1 e-Textile(エレクトロ・テキスタイル)
12.2 ウェアラブルコンピュータ
12.3 e-Textileの欧州の開発例
12.4 e-Textileの消防服への適用
12.5 e-Textileのメディカル用途への適用
12.6 イギリスにおけるe-Textileの市場調査結果
12.7 e-Textileによる知的作業服の開発
12.8 e-Textileを用いた環境適応型衣服
12.8.1 冷房服
12.8.2 暖房服
12.9 e-Textile用導電繊維
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