概要
議論かまびすしい地球温暖化。本当に温暖化するの? 温暖化するとして、それは人間のせい? 二酸化炭素の削減は本当に有効なの? 本書ではまず地球温暖化がどんな問題なのかを整理し、このような疑問や誤解に丁寧に答える。さらには、温暖化予測の主役であるコンピュータ・シミュレーションがいかなるものか、裏側にまで踏み込んで解説する。その信頼度や不確実性についても包み隠すことがない。シミュレーション研究の最前線から、の真摯な言葉の数々。ちょっと立ち止まって、耳を傾けようではないか。
目次
第1章 地球温暖化はどんな問題か
一 温暖化はなぜ起こるのか?(地球の温度の決まり方/大気の役割/温室効果と温暖化)
二 温暖化はすでに起こっているのか?(IPCCとはなにか/二酸化炭素が増えている/なぜ二酸化炭素が重要か/地球の温度は上がっているのか)
三 温暖化は人間のせいか?(地球の温度を変えるさまざまな原因/なぜコンピュータ・シミュレーションが必要か/二酸化炭素の影響は確実にいえる/九〇%の自信)
四 温暖化が異常気象をもたらしているのか?(異常気象とはなにか/異常気象の原因は温暖化か/温暖化が進むと寒い冬は減る)
五 温暖化はどんどん進むのか?(二酸化炭素は地球をどんどん暖める/二酸化炭素が増えると大気が不透明になる/絶対に温暖化するといえるか)
第2章 未来をどうやって予測するのか?
一 未来を探るシナリオ(わからない社会の動向を想定する/六つのシナリオ/社会経済シナリオと排出シナリオ)
二 温室効果ガスはどれくらい大気中に残るか(大気中濃度のシナリオ/将来の二酸化炭素吸収量)
三 気候の変化と影響を予測する
第3章 コンピュータの中の地球
一 物理法則による予測
二 気候モデルに教えていること(なにを手がかりにしているか/気候モデルは方程式を解いているだけ)
三 気候モデルの方程式(予報変数/大気の運動量保存の法則/静力学平衡と質量保存の法則/エネルギーと水蒸気の保存/海洋の方程式/陸面の方程式/その他の方程式/地球を升目に切る/地球シミュレータ)
四 パラメタ化(ミクロな現象の重要性/ミクロな現象のマクロな効果を推定する/パラメタ化が必要な過程/半分は理論、半分は経験/パラメタ化の存在が意味すること/パラメタ化も捨てたもんじゃない)
五 気候モデルのチューニング(チューニングとはなにか/職人芸的な部分/チューニングも捨てたもんじゃない)
六 天気予報と気候モデル(天気予報の計算/気象と気候の違い/お天気のカオス)
七 気候モデルの性能(平均的な気候の再現性/フラックス調節/変動の再現性/過去を再現する/観測データに合いすぎる?/観測データに合わせられない?)
第4章 何が予測されているのか?
一 気温は何℃上がるのか(IPCCによる温度上昇の予測/予測の幅の意味/なぜ予測に幅が出るのか/正と負のフィードバック/水蒸気と雪氷のフィードバック/雲のフィードバックは難しい/確かさの幅/コンピュータの能力と予測精度)
二 場所によって異なる変化(海の温度は上がりにくい/高緯度地方は温度が上がりやすい/雨の降り方の変化/亜熱帯は雨が減る)
三 異常気象は増えるのか(どんな異常気象が増えるか)
四 日本の気候はどう変わるか(梅雨前線の変化/台風はどうなるか/二℃の上昇を想像する)
五 海面上昇(なぜ海面上昇が起こるのか/南極の氷はどうなる/六メートルの上昇はない)
六 人間社会への影響(さまざまな影響/どれくらい深刻なのか/それでも懸念される問題)
第5章 予測は「正しい」か
一 予測のどの部分に自信があるか(変化の傾向が明瞭か/変化の理由を説明できるか/複数のモデルで共通した傾向か/観測データで過程を検証する/過去の傾向と比較する/完全でないモデルだからこそ)
二 不確かさを測る(確率的予測/モデルのサンプリング/モデルの信頼度を測る/ものさしをどうとるか)
三 不確かさを狭める(いかにモデルを改良するか/ボトムアップのアプローチ/トップダウンのアプローチ)
四 不確実な情報をもとに判断する(降水確率と温暖化/予防原則/予防は徹底できるか/コストの問題の落としどころ)
第6章 地球温暖化予測の今後
一 超高解像度モデル(対流性の雲を解像する/京速計算機)
二 気候モデルはいくつ要るか(気候モデリングサミット/日本の場合/写実と抽象)
三 IPCC第五次報告書に向けて(近未来予測/長期予測/統合的シナリオ研究)
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