概要
糖尿病の療養指導に際して,エビデンスを踏まえることは勿論重要である.しかし,ただ単に「エビデンスを知っている」ということと,実際の指導にエビデンスをどう活用すれば良いのかはまた別の話である.そこで本書では,「エビデンスとは何か?」という基礎知識からエビデンスに基づく療養指導の考え方,知っておきたい要checkエビデンスなどをコンパクトに解説し,ワンランク上の療養指導を行なう手引きとなるよう構成した.
目次
1章 総論 1
1 エビデンスとは何か 〔名郷直樹〕 2
A.はじめに:エビデンスとは何か 2
B.臨床上の疑問とエビデンス 2
C.エビデンスの検索方法 4
D.エビデンスの具体例:UKPDS 34 6
E.再びエビデンスとは何か 8
2 エビデンスを用いた糖尿病治療 〔田中隆久,寺内康夫,野田光彦〕 9
A.糖尿病治療の目的 9
B.ガイドラインとは 10
C.エビデンスの作られ方:臨床研究の流れ 11
D.エビデンスの読み方 13
E.ガイドラインを日常臨床にどう活かすか 13
3 エビデンスを用いた肥満治療 〔勝川史憲〕 15
A.軽度の減量と肥満の合併症改善 15
B.内臓脂肪の減少と代謝指標の改善 16
C.メタボリックシンドロームの改善・予防効果 16
D.減量効果のエビデンス 17
E.減量期の食事療法 17
F.運動療法 19
G.減量後体重の維持 21
2章 各論 25
1 糖尿病の診断とスクリーニングのエビデンス 〔中神朋子〕 26
A.糖尿病の診断について 26
B.糖尿病のスクリーニングについて 28
2 1型糖尿病のエビデンス 〔三柴裕子,今川彰久,花房俊昭〕 35
3 2型糖尿病のエビデンス 〔曽根博仁〕 43
A.糖尿病と生活習慣 43
B.日本人2型糖尿病患者のエビデンス 44
C.血糖のコントロールと生活習慣指導 44
D.細小血管合併症と血糖コントロール 45
E.大血管合併症と血糖コントロール 46
F.血清脂質コントロールの影響 48
G.血圧コントロールの影響 49
H.ウエスト周囲径の影響 50
I.複数リスクファクターのコントロールの影響 51
4 小児糖尿病とサマーキャンプのエビデンス 〔岡田 朗〕 54
A.日本の小児1型糖尿病の発症率は低いので患児の孤立に配慮する 54
B.日本の小児1型糖尿病の死亡率は極めて高かったが急速に改善されてきた:死亡率低下を達成するには専門医療機関に定期的に受診すること等が重要である 55
C.思春期発症小児1型糖尿病は予後不良である:特に若年女性では食行動異常に注意する 56
D.小児1型糖尿病の食事はフリーでよく,カーボカウントは有用である 56
E.サマーキャンプ 56
F.小児1型糖尿病では持続血糖モニターCGMSの有用性は確立していない 56
G.小児2型糖尿病は最近さらに増加している:小児2型糖尿病では1型に比べ中断により合併症が進行しやすい 56
5 糖代謝異常妊婦のエビデンス 〔和栗雅子〕 65
A.血糖管理 66
B.糖尿病網膜症 68
C.糖尿病腎症 68
D.糖代謝異常妊婦の実際の管理方法 69
E.妊娠糖尿病のスクリーニング 71
F.妊娠糖尿病のフォローアップ 72
6 糖尿病網膜症のエビデンス 〔鍵本伸二〕 78
A.糖尿病になるとどうして目が悪くなるか 79
B.糖尿病網膜症の病期はどのように分類されるか 79
C.糖尿病になってからどれくらいで網膜症を発症するか 79
D.高齢者と若年者では網膜症の危険に違いがあるか 79
E.視力障害などの自覚症状がなくても眼科受診をさせるべきか 79
F.血糖値のコントロールは,どの程度が望ましいか 80
G.早期からの厳密な血糖コントロールは不要か 80
H.血糖コントロールが悪い患者は大至急改善させたほうがよいか 80
I.高血圧や高脂血症は網膜症に悪影響するか 81
J.網膜症がある患者にはどのような降圧薬が適しているか 81
K.妊娠すると網膜症に悪影響はあるか 81
L.その他にも注意すべき危険因子はあるか 81
M.網膜症を発病すると必ず失明するか 81
N.眼科はどれくらいの頻度で受診させるべきか 82
7 糖尿病神経障害と勃起障害のエビデンス 〔清野弘明〕 84
A.勃起の生理機構 85
B.糖尿病患者における勃起障害の病因 85
C.勃起障害の診断 86
D.糖尿病患者における勃起障害の有病率 87
E.糖尿病神経障害と勃起障害のエビデンス 87
F.糖尿病患者におけるPDE5阻害薬の治療効果のエビデンス 88
8 糖尿病腎症のエビデンス 〔安孫子亜津子,羽田勝計〕 92
A.糖尿病腎症とはどんな病気か 92
B.糖尿病腎症の検査所見・症状 92
C.糖尿病腎症患者はどれくらい存在するのか 93
D.糖尿病腎症発症は予防できるのか 94
E.早期腎症はどう治療するのか 95
F.顕性腎症に進行してしまったらどう治療するのか 97
9 足病変とフットケアのエビデンス 〔細谷 工,松島雅人〕 100
A.糖尿病足病変とは 100
B.日本人の糖尿病患者には足病変は多いのか 101
C.忙しい診療時間のなかで,足病変の問題への対応はどうなっているのか 101
D.リスクの高い患者をどう見極め,どう対応するか 101
E.予防的フットケアとは 103
10 糖尿病と高血圧のエビデンス 〔江口和男,苅尾七臣〕 107
A.糖尿病における高血圧の有害性 107
B.糖尿病で降圧薬が効きにくい理由 111
11 糖尿病合併脂質異常症のエビデンス 〔小谷和彦〕 117
A.糖尿病並存脂質異常症の療養指導の現況 117
B.糖尿病並存脂質異常症の捉え方 117
C.食事療法 119
D.運動療法 120
E.禁煙指導 120
F.薬物療法 121
G.まとめに代えて 122
12 低血糖のエビデンス 〔北岡治子〕 124
A.低血糖はどのようなメカニズムで起こり,どのような症状があるか? 124
B.低血糖の頻度はどれくらいか? 1型および2型糖尿病患者に対して強化インスリン療法などを用いた厳格な血糖コントロールを行った場合,重症低血糖を生じる頻度は増加するか? 125
C.低血糖はどのような人で特に注意が必要か? 127
D.低血糖を起こさない治療上の注意点にどのようなものがあるか? 127
E.低血糖の治療と予防はどのようにするか? 128
3章 治療と予防 131
1 2型糖尿病予防のエビデンス 〔岡崎研太郎〕 132
A.ハイリスク者とそのスクリーニング 132
B.2型糖尿病の発症に関連した生活習慣 133
C.2型糖尿病の予防方法 134
D.今後の課題 これからの糖尿病予防─より多く,より広く,より安く,より安全に,より効果的に 137
E.糖尿病予防のための戦略研究課題1(J-DOIT1) 137
F.まとめ 138
2 エビデンスに基づく食事療法 〔幣 憲一郎〕 140
A.栄養投与量の決定 141
B.食事療法の基本 141
3 運動療法のエビデンス 〔坂根直樹〕 148
A.運動習慣の獲得は2型糖尿病の予防になるか 149
B.運動するとどのくらい血糖コントロールはよくなるか 150
C.筋力トレーニングも血糖コントロールを改善させるか 151
D.運動療法は合併症の予防にもなるか 151
E.犬の散歩も運動になるか 151
F.膝が痛くて運動できない場合には 152
G.エビデンスを用いた運動指導 152
4 2型糖尿病に対する経口糖尿病治療薬のエビデンス 〔菅野圭一〕 156
A.経口薬の選択について 156
B.エビデンス 159
5 インスリン療法指導のエビデンス 〔朝倉俊成〕 164
A.はじめに 164
B.適正なインスリン自己注射を目指すために 165
C.まとめ 170
6 ジェネリック医薬品のエビデンス 〔白神 誠〕 172
A.後発医薬品とは 172
B.後発医薬品に対する懸念 174
C.後発医薬品に対する懸念への対応 175
D.企業文化の見極め 178
7 トクホとサプリメントのエビデンス 〔佐野喜子〕 180
A.特定保健用食品(以下トクホ)と「いわゆる健康食品」の違い 181
B.トクホを利用する上での問題点 181
C.おもな関与成分とヒト有効性 183
D.トクホ・サプリメントを活用した栄養指導 187
E.トクホ・サプリメントを併用する際の注意点 188
8 糖尿病療養指導のエビデンス 〔杉本正毅〕 192
A.今,療養指導に求められるもの 193
B.生物心理社会モデルの実践 194
C.患者の自主性を尊重する姿勢が患者の主体性を引き出す 195
D.関係性構築技法(患者中心技法)をマスターする 195
E.対話形式とアウトカムの関係 196
F.医師-患者間の対話の質とアウトカムとの関係 196
G.関係性中心アプローチはすなわちエンパワメントアプローチである 197
索引 202
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