中国の良く知られた古典を、環境の観点から読み解き、そこに隠れている中国古代の姿を明らかにする試み。日本人にもおなじみの「史記」「論語」のエピソードを手がかりに、古代中国はどのような自然環境の中で作られていったのか、それは中国に住む人々の営為によって、どのように変わったのか、そして、その変化が後に中国にどのような影響を及ぼしたのかを、考古学や自然科学の知見も交えつつ、考えていく。
中国史の特別な知識がなくても読み通せるよう、軽妙な語り口で、やさしく楽しく読める内容となっている。
地球温暖化や環境問題を契機に、人間が自然に与える影響について世間の関心が高まっている。
そんな中、今後ますます注目されるであろう環境歴史学の入門書としても、タイムリーな一冊である。