書籍・雑誌

皆様の研究・教育活動を支えます ー お取り扱いサービス

書籍・雑誌

精神科救急ケースファイル

精神科救急ケースファイル
著者/訳者名

平田豊明 他監修

出版社 中外医学社
発行年月日 2009年03月01日
ISBNコード 9784498129320
定価 ¥5,060(税込)

カートへ

概要

臨床経験の少ない若手精神科医のために、ベテラン医師が精神科救急という場面における豊富な経験と症例を元に,現場の「技」を紹介。実際に遭遇,またはするであろう症例に対し,そのとき現場で“どんな技を使って対処すべきか”を時系列的に詳しく解説.示唆に富むその内容は,若手医師だけでなくても読み応えのある充実した内容.

目次

カテゴリーA 器質性(症状性を含む)

 FILE1 解離のリピーター〈原田雅典〉  1
  救急はその都度白紙で臨め! 
  油断なく常に器質因を担保せよ!

 FILE2 恐水・恐風症状〈平沢俊行 石束嘉和〉  4
  他科での診断を鵜呑みにするな! 
  「なにかおかしい」と感じたときには身体科へのコンサルトを躊躇しない!

 FILE3 突然の飛び降り 〈中村 満〉  7
  “まとまらなさ”を吟味しよう! 
  意識障害の原因は単独とは限らない.早合点はせず,疑問点を無視せず検証しよう!

 FILE4 興奮・滅裂〈安来大輔〉  10
  受診前の状況を想像する
  急速鎮静時の呼吸抑制への対処
  情報の質を考えること

 FILE5 整形外科病棟にて〈本郷 仁 森 隆夫〉  13
  意識障害の有無と鑑別を! 
  病歴聴取は慎重に! 
  しっかりとした治療計画を!

 FILE6 断酒・興奮・けいれん 〈小林孝文〉  16
  精神症状の背後にある身体疾患を見落とさないようにすること!
  意識障害を中心として,精神症状(主に状態像)を的確に把握すること!
  意識障害の原因が特定できない場合には,入院治療を考慮すること!

 FILE7 繰りかえす自傷 〈小田原俊成〉  19
  症候性の病態を疑え
  問題は一つと思い込むな

 FILE8 男性.線路内で発見〈山城尚人〉  22
  限られた情報から考えられる物語をいろいろ想像せよ! 
  身体のことは自分の目と耳で再確認を! 
  文脈からの乖離は器質疾患を疑え!

 FILE9 タクシー内で暴力 〈竹内 崇〉  25
  身体症状を吟味せよ! 
  甲状腺の触診の習慣をつけよ!

 FILE10 突然の困惑・徘徊〈早川達郎〉  28
  甲状腺疾患を常に念頭におくこと! 
  病前性格は鑑別診断に重要!

 FILE11 突然の希死念慮〈木村真人 澤谷 篤〉  31
  「急激に出現した不穏」に不審な点はないだろうか!? 
  適切かつスピーディな検査で,身体疾患ハンターになろう!

 FILE12 攻撃的な高齢者〈粟田主一〉  34
  認知症の診断は精神療法的なかかわりを通して行う! 
  本人の体験を繰り返し確認しながら,現実見当識を強化する!

 FILE13 看護困難で整形外科から退院させられ…〈長谷川朝穂〉  37
  応急入院など入院形態を適切に使い分けよ
  まずは処方薬を整理せよ.特に睡眠導入剤
 FILE14 スキー場で騒ぎだした 〈一瀬邦弘 斎藤尚大 斉藤理英 中村 満〉  40
  軽い意識障害を見逃すな
  緊張病性昏迷や興奮を示す病因は,統合失調症だけではない

カテゴリーB 薬物性(依存関連あるいは薬剤の副作用)

 FILE15 毒ガスを撒かれた! 〈関口隆一〉  43
  インフォームド コンセントが得られていることを確認せよ!
  物質関連障害では依存症治療への動機づけを念頭において
  対応せよ!

 FILE16 包丁を振り回す〈京野穂集〉  46
  興奮する患者に対しても必ずオリエンテーションをつける
  患者の家族には,本日の行為をいたわり,ねぎらいの言葉をかける
  ベンゾジアゼピンに耐性ができている可能性がある場合は迷わずバルビツール
  覚せい剤使用の可能性が濃厚な場合,警察サイドから病状照会の手続きを取ってもらう
  硬い環境下では努めて支持受容的,非侵襲的に診察を行う

 FILE17 コードで縊首を図る 〈成瀬暢也〉  49
  誠実で自尊感情を傷つけない対応に努め,早い時期から薬物依存の問題について端的に説明し治療の動機づけを始めよ! 
  急性精神病症状の消退後に,情動不安定な時期(薬物渇望期)がくることを念頭において対処せよ! 
  急性期の対応であっても,常にその基にある依存症の治療への繋ぎを念頭においたものでなければならない!

 FILE18 暴力・ドラッグ〈赤田卓志朗〉  52
  良い戦略のために,処遇検討会を! 
  相手のテリトリーに踏み込む際は,危険物に十分注意する! 
  その場を支配せよ!

 FILE19 路上で仰臥〈前岡邦彦〉  55
  検査所見とvital signから状態像を読解せよ!

 FILE20 急性アルコール中毒〈小沼杏坪〉  59
  精神科救急場面での問診は,事件記者なみに事実関係の推移に関する情報を5W1Hに注目して,本人はもとよりできるだけ多くの関係者から丹念に聴取せよ
  アルコールを含めて単なる薬物依存症に対しては,非自発的入院の対象とするべきではないが,抑制不能な程度に激しい精神運動興奮を呈する急性アルコール中毒の事例においては,措置入院も辞さない覚悟が必要である

 FILE21 一般救急で突然大暴れ〈原口いずみ〉  62
  「興奮して暴れている」を見極める
  意識障害の原因を見極める
  病識がなく治療に対しても拒否的なケースへのアプローチ

 FILE22  大量服薬〈狩山博文 川北幸男〉  65
  睡眠薬依存からの離脱期には抗精神病薬主体の薬物療法を! 
  「技」より「心」を!

 FILE23 移送.悪性症候群とECT〈澤  温〉  68
  *状況確認は必要であるが,その人を実際診察するまで判断をしない! 
  *34条には地域精神保健はあるが,地域精神医療はないと思え! 
  *34条は精神科救急のツールではない
  *地域精神医療を行うためには,あらゆる努力が必要! 
  *病棟での行動観察は地域での行動の予測には不十分 
  *教科書は何も教えてくれない! 
  *障害の重い人にはキーパーソンが必要! 
  *悪性症候群は「日」ではなく,「分・時」の単位で変化する.いつも疑い続けよ! 
  *悪性症候群と重い精神症状がある場合,事前チェックをきちんとしたら必ずセカンドオピニオンを得て,ためらわずECTを施行せよ!

 FILE24 初期救急の事例(抗精神病薬の副作用)〈窪田 彰〉  71
  電話相談の段階での見立てがカギ!

 FILE25 てんかん重積 〈三浦 至 沼田吉彦〉  74
  てんかん重積状態を見抜き,迅速な対処を! 
  けいれん発作の原因を検索すること!

 FILE26 静座不能〈保坂 隆〉  77

 FILE27 衝動性亢進〈木下葉子〉  80
  抗うつ薬によるactivation syndrome(賦活症候群)を疑え! 
  withdrawal syndrome(中断時症候群)に注意しながら原因薬剤の漸減・中止せよ!

カテゴリーC 原発性(精神病性,気分障害,神経症関連,人格障害,発達障害関連など)

 FILE28 無動・一点凝視 〈八田耕太郎〉  83
  五感を駆使せよ! 
  検査所見を読解せよ!

  FILE29 神経内科病棟にて 〈杉山 一〉  86
  まずは脳器質性疾患を除外しろ! 
  検査は手際よく! 
  静脈麻酔の仕方! 
  検査所見を読解せよ! 
  ケースマネージメントが重要!

 FILE30 情報連携室に照会〈佐藤忠宏〉  89
  情報を一元的に収集する組織が必要! 
  妄想を否定しない! 
  病気として説得するよりも困ったことの相談に応じる姿勢で
  接する! 
  結果よければそれでよし!

 FILE31 ペットボトル4リットル 〈分島 徹〉  92
  患者の日常生活の実態をつかめ
  水中毒の救急処置

  FILE32 身元不詳〈林 偉明〉  95
  身元がわからない場合の対応
  診断と薬物インタビュー

 FILE33 透析拒否〈澤原光彦〉  98
  同意能力を含めた精神状態を評価せよ! 
  患者の背景情報を収集せよ! 
  説得は状況の許す限り,時間をかけ丁寧に
  決定の根拠は明確に提示しうるように
  診療録に的確な記録を残す!

 FILE34 裸で幹線道路を走る 〈平林直次〉 102
  入院時より全身状態を管理せよ! 内服薬の中断,過量服薬の影響を評価せよ! 
  適切な鎮静を選択せよ!

FILE35 非告知投与〈花輪昭太郎〉 105
  患者を安心させる工夫をせよ!

 FILE36 生活保護・家賃滞納半年 〈田中英樹〉 108

 FILE37 精神科救急情報センターにて 〈鴻巣泰治〉 111
  警察官の臨場を考える! 
  措置入院は都道府県知事(指定都市の市長)による行政処分で
  ある! 
  応急入院を視野に入れる!

 FILE38 外国人─通訳は? 〈鈴木 満〉 114
  いざという時の通訳をさがしておけ
  母国語による医療的介入はそれ自体で治療的である
  予想外の展開を想定して迅速にチームを立ち上げよ

 FILE39 産褥〈須田史朗〉 117
  「勘」を駆使して「何か変な所はないか」検証せよ!
  立ち上がって興奮している患者さんは,まず座らせよう!

 FILE40 切迫早産 〈堀 貴晴 米田 博〉 120
  生命の安全を最優先させよ
  出産に関しては常に最悪のケースを想定せよ

 FILE41 適切な処遇とは 〈和田 央 岡江 晃〉 123

 FILE42 遺産相続〈白石弘巳〉 126
  診察は可能な限り本人の協力を得て行え!!
  患者に入院を直面化させよ!!
  患者と家族の関係に配慮せよ!!

 FILE43 暴力・ふて腐れ 〈武島 稔〉 129
  暴力や怒りの背後にある抑うつの存在に気をつける!─「抑うつ性混合状態」の概念
  臨床的特徴から双極性障害を疑う! 
  抗うつ薬がイライラや易怒性を悪化させることがある!
  FILE44 辞めたい〈柳川哲朗〉 132
  細かい手掛かりも見逃すな! 
  効率的な問診によって,全体像や問題の核心をつかめ!

 FILE45 自殺未遂者のソーシャルワーク 〈大塚耕太郎 酒井明夫〉 135
  救急現場でソーシャルワークのニーズを抽出する! 
  救急現場でソーシャルワークを実践する!

 FILE46 事故による頭部外傷? 〈阿部正幸 丹羽真一〉 139
  心因性の意識障害を診分ける! 
  アクシデントを予測し柔軟に対応する! 
  次につなげる!

 FILE47 駅構内で意識消失〈市村 篤〉 142
  わずかな検査所見の異常を見落とすな! 
  意識障害との鑑別技!

 FILE48 自殺予告 〈浅野 誠〉 145
  状況に安易に流されてはならない
  事態は誰の責任によるのか,誰が責任を担うべきかを考察して,治療あるいは対応のデザインを考える
  たとえ鬼の親でも関係の修復を試みさせる
  無条件での受け入れはだめ.日常の簡単な作業は不安の軽減に役立つ

 FILE49 放火〈佐藤浩司〉 148
  トリアージを考えよ! 
  診察前の情報に多くのヒントがある! 
  はっきりさせること,曖昧でもいいことの見極めをする! 
  精神科医療は「全能」でないことを弁えよ!

 FILE50 無理心中 〈桂川修一〉 151
  救急医とのコンサルテーションはフットワークをいかせ! 
  さらに情報を集めよ! 
  精神科入院治療の目的を明らかにせよ!

 FILE51 猫になってしまった 〈深尾晃三〉 154
  冷静に状況を判断し,特に同伴者を観察せよ.突発的な危険状況が予測されないかを判断し安全を確保せよ
  時には,焦らず何もせず安全を確保して見守る判断も必要である.それは,患者(と家族)のもつ自然治癒力・自己解決能力を最大限発揮できる環境(時間と場所と第三者)を提供することを意味する(技というより心得)精神科救急の目的は一時的に危うくなっている人間の尊厳を守ることでもある

 FILE52 極度の興奮 〈高橋正幸 中島豊爾〉 157
  過去の診断に頼りすぎるな
  入院の要件は?

 FILE53 夫婦で強い希死念慮〈恵紙英昭〉 160
  共感力で患者のみならず保護者である妻を冷静にさせ,自己洞察力を取り戻す! 
  患者の生育歴・教育歴から人生観や価値観を見抜いて,根気強く誠実に対応し,いざというときには強制力を発動する!

 FILE54 「人格障害」と診断する前に 〈平田豊明〉 163
  「人格障害」の診断にはマユツバで臨め! 
  「境界性人格障害」の大半は気分障害である! 
  薬物療法はできるだけシンプルに! 抗うつ剤と抗不安剤の投与は慎重に! 
  精神療法は意図と気合い!

 FILE55 癌の転移を告知され… 〈深見悟郎〉 166
  危機対応リスクマネジメント! 
  とにかく人を集めること!

 FILE56 疎通とれず,意味不明の発言 〈佐藤茂樹〉 170
  時間を稼げ! 
  窮余の点滴

その他

 FILE57 殺したい 〈陶山満雄〉 173
  過去の記録を参照せよ! 
  幻覚体験の内容を吟味せよ!

 FILE58 救急患者の恐怖・不安をいかに理解し,対応するか 〈堀川公平〉 176

 FILE59 海外からの救急移送 〈神山昭男〉 179
  外国からの救急移送には旅行医学のスキルと医療施設外のケア
  経験が不可欠
索 引 183

検索結果一覧に戻る

  • G_navi_06
  • お取り扱いサービス
  • G_navi_08
  • G_navi_09
  • G_navi_10
  • G_navi_11