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医系免疫学 改訂11版

医系免疫学 改訂11版
著者/訳者名

矢田純一 著

出版社 中外医学社
発行年月日 2009年03月01日
ISBNコード 9784498106024
定価 ¥8,360(税込)

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概要

免疫学の正統的な入門書として定評を得ているが、本領域の急速な進歩にあわせて今回も最新の知見をふまえて改訂した。難解な免疫学を図表を多用して平易な文章でわかりやすく解説し、専門用語には簡単な解説を添え、免疫学特有の概念には卑近な例をひいて説明している。臨床との結びつきに留意し、検査、診療法、病態の理解に必要な免疫学の知識を盛り込んだ。また各章の冒頭に要約をかかげ、知識の整理をはかっている。これから免疫学を学ぶ方々に、最高のテキストとしてお勧めする。

目次

1 免疫とは―免疫系概説―
  1.免疫系の生体における役割 1
  2.どうやって“非自己”を識別するか 1
  3.無数に近い種類の抗原レセプターをどうやって用意するのか 4
  4.“非自己”の認識から“非自己”の排除へ 5
  5.反応の増幅と制御 7
  6.リンパ球にはいくつかの異った性質のグループがある 8
  7.“非自己”の認識と排除の原始的な機構(自然免疫) 10
  8.“非自己”の排除には“自己”の犠牲も伴う―アレルギーとの関係 12
  9.免疫と臨床 12

2 抗体についての基礎知識
 ■要 点…14
 1.抗体とはどのようなものか 16
 2.抗原とはどのようなものか 18
 3.抗体の分子構造 19
 4.免疫グロブリン 22
 5.免疫グロブリン各クラスの特性 26
 6.血清免疫グロブリン値と疾患 35
 Advanced Knowledge●
 ①抗原と抗体との特異的結合 37
 ②FcRnの役割 37

3 抗体のもたらす反応とそれを利用した検査
 ■要 点…38
 1.凝集反応 41
 2.赤血球凝集反応 41
 3.菌凝集反応 43
 4.受身凝集反応 44
 5.沈降反応 44
 6.ゲル内沈降反応 46
 7.補体結合反応 47
 8.免疫溶菌反応 49
 9.細胞傷害試験 49
 10.免疫粘着反応 50
 11.中和試験 50
 12.標識抗体法 52
 13.ラジオ イムノアッセイ (RIA) 54
 14.エンザイム イムノアッセイ (EIA) 57
 15.その他のイムノアッセイ 58
 16.ウエスタン ブロット法 59
 17.免疫画像診断 60

4 抗体を利用した疾患の予防と治療
 ■要 点…61
 1.抗体をどのようにして入手するか 63
 2.ウイルス感染症の発症予防 65
 3.細菌感染症の治療 66
 4.無・低γグロブリン血症の感染予防 67
 5.血液型不適合妊娠における感作の予防 68
 6.がんの治療 68
 7.血小板減少性紫斑病の治療 69
 8.自己免疫病,免疫複合体病の治療 69
 9.川崎病の治療 71
 10.免疫抑制療法 71
 11.アレルギーの治療 71

5 リンパ球の働き
 ■要 点…72
 1.体液性免疫と細胞性免疫 75
 2.T細胞の発生 77
 3.T細胞の抗原認識 78
 4.T細胞の機能 80
 5.B細胞の発生と機能 91
 6.K細胞 91
 7.NK 細胞 92
 8.NKT 細胞 99
 9.LAK 細胞 101
 10.リンパ組織 102
  Advanced Knowledge●
  ①ヘルパーT細胞によるキラーT細胞の補助 110
  ②T細胞による細胞傷害の機序 110
  ③Th1細胞とTh2細胞の分化 113
    Th1細胞,Th2細胞の機能 114
    Tr1細胞とTh3細胞 114
    Th17細胞の分化と機能 114
    Th1細胞・Th2細胞・Tr1細胞・Th17細胞の誘導と抗原提示細胞 115
    Th1細胞,Th2細胞の性状の違い 117
  ④樹状細胞の分化 118
  ⑤NK細胞のサブセット 120
  ⑥NK細胞表面のレセプター 120
    NK細胞を活性化するサイトカイン 123
  ⑦古典的NKT細胞の由来と機能 123
  ⑧腸管リンパ組織における免疫応答 125
  ⑨末【梢】リンパ組織の器官形成 126
  ⑩粘膜免疫系 127
  ⑪リンパ球の動態とケモカイン・接着分子 128

6 細胞表面機能分子―接着分子など―
 ■要 点…131
 1.細胞表面分子の CD 表示 132
 2.接着分子の種類 132
 3.接着分子の役割 150
 Advanced Knowledge●
 ①ケモカインによる接着分子の変化 156
 ②接着分子によるT細胞の活性化 156

7 B細胞の分化と機能発現
 ■要 点…157
 1.免疫グロブリン可変領域遺伝子の再編成 159
 2.免疫グロブリンのクラススイッチ 163
 3.B細胞系の分化過程 167
 4.自己反応性B細胞の除去 170
 5.B細胞の由来と種類 171
 6.B細胞の活性化 172
 7.B細胞の増殖・分化へのT細胞の関与 174
 8.抗体産生 179
  Advanced Knowledge●
  ①免疫グロブリン可変領域遺伝子再編成の機序 184
  ②免疫グロブリン可変領域遺伝子の体細胞突然変異の機序 185
  ③免疫グロブリン対立遺伝子排除 186
  ④免疫グロブリンのクラススイッチ機構 186
  ⑤pre-B細胞レセプターの役割 188
  ⑥B細胞系への分化と転写因子 189
  ⑦自己反応性B細胞がアネルギーとなる機序 190
  ⑧B1a細胞とB1b細胞の相違 191
  ⑨B細胞活性化の細胞内シグナル伝達 191
  ⑩リポ多糖類によるB細胞の活性化 195
  ⑪細胞内シグナル伝達にかかわるチロシンキナーゼ群とアダプター分子 195
  ⑫Blys(BAFF)のB細胞への作用 196
  ⑬表面免疫グロブリンと分泌される免疫グロブリン 197
  ⑭胚中心におけるB細胞の反応 197
  ⑮濾胞BヘルパーT細胞 199
  ⑯形質細胞・記憶B細胞への分化 200
  ⑰辺縁帯B細胞の役割 201

8 T細胞の分化と機能発現
 ■要 点…203
 1.T細胞レセプター(T細胞抗原レセプター) 206
 2.T細胞の抗原認識 209
 3.T細胞の活性化 213
 4.抗原の処理と提示(抗原提示細胞) 220
 5.T細胞の分化過程 228
 6.T細胞の分化と胸腺 233
 7.T細胞の動態 240
  Advanced Knowledge●
  ①T細胞レセプターの多様性の形成 243
  ②ヒトT細胞レセプター多様性の実測値 243
  ③脂質抗原のCD1分子による提示とそれに対するT細胞の応答 244
  ④γ64T細胞の抗原認識 245
  ⑤T細胞レセプターとリガンドの結合 246
  ⑥T細胞の活性化とシグナル伝達およびその制御 246
  ⑦T細胞の活性化とGEM/raft 252
  ⑧共刺激なしに抗原と反応したT細胞がアナジー(不応状態)に陥る機序 253
  ⑨T細胞レセプターからのシグナルによる細胞内骨格の機能誘導 254
  ⑩T細胞レセプターからのシグナルによるインテグリンの接着能増強 254
  ⑪樹状細胞の成熟と性状の変化 255
  ⑫抗原提示における樹状細胞とT細胞の相互作用 256
  ⑬樹状細胞の抗原物質の取り込みおよび成熟とパターン認識レセプター 257
  ⑭T細胞が活性化されるかトレランス(不応状態)になるかと樹状細胞 257
  ⑮抗原の処理と提示の機序 258
  ⑯プロテアソームの構造 261
  ⑰cross presentationの機序 261
  ⑱MHCクラスⅡの発現とCⅡTA 263
  ⑲免疫学的シナップス 264
  ⑳樹状細胞が産生する活性型ビタミンとリンパ球のホーミングおよびレギュラトリーT細胞の誘導 265
 21 T細胞の分化とNotchレセプター,E蛋白,Id蛋白,転写因子 266
 22 T細胞のCD4+,CD8+への分化とMHCクラスⅡ/MHCクラスⅠ拘束性 267
 23 Innate T細胞 268
 24 胸腺におけるT細胞の動態とケモカイン・接着分子 268
 25 胸腺T細胞における正の選択・負の選択とT細胞レセプターからのシグナル 269
 26 γ64型T細胞の機能 270
 27 CD8+メモリーT細胞の生存とキラーIg様レセプター 270
 28 皮膚へ侵入した抗原に対するT細胞の反応 271
 29 ナイーブT細胞とメモリー(記憶)T細胞 272

9 リンパ球の検査
 ■要 点…275
 1.リンパ球系の状態の把握 277
 2.リンパ球亜群の測定 277
 3.T細胞サブセット 279
 4.T細胞のクロナリティ 281
 5.リンパ球の機能検査 282
 6.特定抗原に対するリンパ球の感作の有無の測定 288

10 補体とその働き
 ■要 点…289
 1.補体とは 290
 2.活性化補体の作用 291
 3.補体の活性化 295
 4.活性化補体の不活化 299
 5.補体レセプター 302
 6.補体の産生と消費 304

11 サイトカインとその働き
 ■要 点…306
 1.インターロイキン 310
 2.TNF(腫瘍壊死因子) 335
 3.インターフェロン (IFN) 338
 4.その他のリンホカイン 341
 5.TGF-β 342
 6.細胞増殖因子 344
 7.オステオポンチン 345
 8.BAFF(Blys)・APRIL 345
 9.白血球遊走にかかわるサイトカイン(ケモカイン) 345
 10.造血に関与するサイトカイン 351
 11.サイトカインのレセプター 353
 12.サイトカインの治療への応用 354
 Advanced Knowledge●
  ①IL-1β,IL-18の分泌とinflammasome 356
  ②IL-2レセプターからのシグナル伝達 356
  ③サイトカインによるリンパ球の生存維持 357
  ④IL-10によるT細胞・樹状細胞・マクロファージの抑制 357
  ⑤IFNの抗ウイルス作用 358
  ⑥TGF-βレセプターからのシグナル伝達 358
  ⑦細胞の遊走とケモカインレセプターシグナル 359
  ⑧サイトカインレセプターからのシグナル抑制機構 359

12 食細胞―好中球とマクロファージ
 ■要 点…362
 1.好中球の貪食作用 364
 2.好中球の殺菌物質 370
 3.好中球による組織傷害 373
 4.マクロファージとその働き 373
 5.マクロファージの活性化 381
 6.マクロファージの多様な機能 386
  Advanced Knowledge●
  ①食細胞のFcγレセプターを介する活性化 389
  ②細胞質顆粒内容の放出とSNARE 390
  ③細胞の種類とToll様レセプター 391
  ④細胞質のパターン認識レセプター 391
  ⑤LPSによるマクロファージの活性化 392
  ⑥各TLRからのシグナル伝達 394
  ⑦マクロファージ・樹状細胞活性化の制御 395
  ⑧DAMPsと炎症反応 398

13 感染防御免疫機構
 ■要 点…399
 1.局所免疫 402
 2.ウイルスの排除 403
 3.ウイルスの拡散の阻止 411
 4.ウイルス感染の予防 412
 5.クラミジアの防御 414
 6.化膿菌の防御 415
 7.細胞内寄生性細菌,真菌の防御 418
 8.寄生虫の防御 425
 9.感染防御における自然免疫と獲得免疫 427
 10.感染症診断のための免疫学的検査 429
  Advanced Knowledge●
  ①皮膚から侵入してくる微生物に対する免疫応答 432
  ②ウイルス核酸による樹状細胞,マクロファージの活性化と細胞内核酸感知分子 433
  ③heterologous immunityとウイルス感染に対する免疫応答 434
  ④ウイルスの免疫回避機構 434
  ⑤アジュバントの作用機序 438
  ⑥細菌DNA CpG配列のアジュバント作用 439
  ⑦マスト細胞の感染防御における役割 439
  ⑧腸管粘膜における共生菌との共存と病原菌との戦い 440
  ⑨細菌の免疫回避機構 441
  ⑩原虫の免疫回避機構 444
  ⑪蠕虫の免疫回避機構 445

14 免疫不全
 ■要 点…446
 1.免疫不全とは 449
 2.免疫不全と感染 449
 3.免疫不全症の成因 453
 4.原発性免疫不全症の主な病型 454
 5.免疫不全症の治療 472
 6.免疫不全症の検査 473
 7.好中球異常症 476
 8.好中球機能検査 482
 9.好中球異常の治療 483
 10.補体欠損症 483
 11.続発性免疫不全症 484
  Advanced Knowledge●
  ①副腎ステロイドの免疫抑制作用の機序 491
  ②ストレスによる免疫機能の変化 492

15 免疫応答の制御および免疫トレランス
 ■要 点…493
 1.抗イディオタイプ抗体 495
 2.免疫制御T細胞 498
 3.T細胞以外の免疫制御細胞 503
 4.免疫グロブリンのクラス特異的サプレッサーT細胞 504
 5.Fcレセプターを介する免疫抑制 504
 6.細胞死による抑制 505
 7.抑制シグナルを送る表面分子 507
 8.シグナル伝達制御分子 511
 9.神経ペプチドによる抑制 512
 10.miRNAによる制御 512
 11.免疫トレランス 512
 12.自己抗原に対して免疫トレランスが成立しやすい理由 520
  Advanced Knowledge●
  ①CD4+ CD25+ Foxp3+ レギュラトリーT細胞の性質 520
  ②免疫機能とアポトーシス制御分子Bcl-2ファミリー 523
  ③B細胞の活性化とアポトーシス 523
  ④神経ペプチドによる炎症と免疫反応の抑制 524
  ⑤活性化かトレランスかを決定するシグナル 524
  ⑥腸管免疫における能動応答かトレランス誘導かの岐路 525

16 アレルギー
 ■要 点…526
 1.Ⅰ型アレルギー 529
 2.Ⅰ型アレルギーの検査と治療 544
 3.Ⅱ型アレルギー 546
 4.Ⅲ型アレルギー 551
 5.免疫複合体の測定 555
 6.Ⅳ型アレルギー 556
  Advanced Knowledge●
  ①FcεレセプターⅠの架橋によるマスト細胞の活性化 561
  ②TSLP・IL-18・IL-33とアレルギー 563
  ③アレルギー発症の個人差 564
  ④遅発喘息反応と気道リモデリングにおける好酸球とT細胞の関与 565
  ⑤抗原物質中のプロテアーゼとアレルギーの誘導 566
  ⑥アレルギーの研究段階の治療 567

17 自己免疫現象と自己免疫疾患
 ■要 点…568
 1.自己免疫と自己免疫疾患 570
 2.自己免疫の成因 571
 3.臓器特異的自己免疫疾患 584
 4.抗核抗体 591
 5.全身性自己免疫疾患 594
 6.自己免疫疾患の治療 600
  Advanced Knowledge●
  ①前眼房における免疫抑制の機序 601
  ②SLEの病態とⅠ型インターフェロンおよびDAN・抗DNA抗体免疫複合体 601
  ③自己免疫疾患の免疫学的治療の試み 602

18 輸血と臓器移植
 ■要 点…606
 1.血液型 611
 2.輸血反応 619
 3.血液型不適合妊娠 619
 4.組織適合抗原 620
 5.HLA 抗原の決定法(タイピング) 625
 6.拒絶反応の機序 627
 7.移植細胞対宿主反応 631
 8.移植拒絶反応の抑制 632
 9.各臓器の移植 634
 10.免疫応答遺伝子と組織適合抗原 638
 11.HLA 抗原と病気の発症危険率 640
 12.血液型,組織適合抗原以外の同種抗原 642
  Advanced Knowledge●
  ①NK細胞による同種骨髄細胞の拒絶 645
  ②移植片対白血病効果 645
  ③研究段階の移植拒絶反応抑制法 645

19 腫瘍と免疫
 ■要 点…647
 1.腫瘍に対する免疫は存在するか 649
 2.腫瘍関連抗原 649
 3.抗腫瘍免疫のメカニズム 651
 4.抗腫瘍免疫が回避されてしまう機序 657
 5.腫瘍の免疫療法 663
  Advanced Knowledge●
  ①腫瘍関連抗原の同定法 672
  ②腫瘍関連抗原の提示とストレス蛋白 672
  ③腫瘍による樹状細胞の分化抑制と抗腫瘍免疫の阻害 672

20 生殖と免疫
 ■要 点…673
 1.胎児の免疫学的拒絶(流産)の阻止機構 674
 2.原発性習慣性流産 679
 3.妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症) 680
 4.胞状奇胎 681
 5.抗精子抗体と不妊 681
 6.抗卵透明帯抗体と不妊 682
 7.自己免疫性卵巣炎,精巣炎と不妊 683
 8.母親からの抗体による児の疾患 683
 9.児のリンパ球の侵入による母の病気 684
 10.妊婦の免疫機能 685

21 免疫系の発達と老化
 ■要 点…686
 1.免疫系の系統発生 687
 2.ヒトにおける免疫系の個体発生 691
 3.免疫系の老化 698

附.遺伝子の発現機構―遺伝子の転写と翻訳― 702
和文索引…705
欧文索引…713

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