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クレジットリスク

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著者/訳者名

D. Duffie,K.J. Singleton 著
本多俊毅・上村昌司 訳

出版社 共立出版
発行年月日 2009年04月03日
ISBNコード 9784320018754
定価 ¥6,050(税込)

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概要

 この本では信用リスクを概念的,実践的,また実証的に分析するうえでの基礎を,統一的な視点から解説している。基本的な話題は,ポートフォリオのリスク計測,倒産可能性がある債券やクレジットデリバティブ,その他の信用リスクに関連する証券の価格付けである。信用リスクのさまざまなモデルを紹介し,それぞれの長所と短所を評価している。信用リスクは市場リスク要因のひとつではあるが,逆選択やモラルハザードが重要な意味をもつため,他の市場リスク要因とは少し異なる。この本の多くの部分では,倒産と回収率のモデル化,そして信用リスクに関連する商品の価格付けについて論じている。他にも,相対取引されるデリバティブにおける信用リスク評価や,金融機関の(市場リスクと信用リスクの両方の)リスク全体の計測について考えていく。価格付けとリスク計測の両方を論じるうえで,ファイナンスの理論を制度とデータの両方と結びつけることに注意を払った。金融機関のリスク管理に携わる実務家,学術研究者,および大学院生にとって,信用リスクという興味深い問題を学ぶうえでの格好の入門書である。
[原著 D. Duffie and K. J. Singleton: Credit Risk --Pricing, Measurement, and Management, Princeton University Press, 2003]

目次

第1章 はじめに
1.1 リスクの分類
1.2 本書の構成

第2章 リスク管理の経済学
2.1 どのようなリスクがもっとも重視されるのか
2.2 市場リスクの経済分析
  2.2.1 損益の非対称性
  2.2.2 最小資本水準の要請
  2.2.3 依頼人と使用人の関係
  2.2.4 希少な資源としての資本
  2.2.5 金融機関にとってのレバレッジとリスク
  2.2.6 資本の配分か,リスクの配分か
  2.2.7 資本に対するリスク調整済みリターン
  2.2.8 業績に連動する報酬
2.3 信用リスクの経済原則
  2.3.1 逆選択と信用リスク
  2.3.2 信用リスクの集中
  2.3.3 モラルハザード
2.4 リスク計測
  2.4.1 バリュー・アット・リスク
  2.4.2 期待裾損失
  2.4.3 市場価値を保障する保険の価格
  2.4.4 市場リスクの尺度としてのボラティリティ
  2.4.5 リスク尺度の一貫性
2.5 信用リスクの計測
  2.5.1 信用リスクに特有なリスク尺度
  2.5.2 信用リスクと資本規制

第3章 倒産のデータ分析と統計モデル
3.1 はじめに
  3.1.1 投機的負債が全体に占める割合の変化
  3.1.2 フォワード倒産確率
3.2 倒産確率の構造型モデル
  3.2.1 ブラック・ショールズ・マートンモデル
  3.2.2 初到達時刻モデル
3.3 理論と現実.倒産までの距離を用いた倒産の予測
3.4 倒産強度
  3.4.1 二重確率的倒産モデル
3.5 強度モデルの例
  3.5.1 ジャンプ付き平均回帰強度
  3.5.2 CIR強度モデル
  3.5.3 ジャンプモデルとCIRモデルの比較
  3.5.4 アフィン強度モデル
  3.5.5 HJMフォワード倒産率モデル
3.6 倒産時刻のシミュレーション
3.7 倒産の統計的予測
  3.7.1 予測モデルの比較
  3.7.2 倒産と経年効果

第4章 格付の変化.過去データの特徴と統計モデル
4.1 格付変更の平均的頻度
4.2 格付リスクと景気循環
4.3 格付推移と経年変化
4.4 順序プロビットモデル
4.5 格付のマルコフ連鎖
  4.5.1 推移強度の変化
  4.5.2 ランドによる確率的推移強度モデル

第5章 倒産リスクの評価
5.1 はじめに
5.2 リスク中立確率と実確率
5.3 誘導型モデル
5.4 構造型モデル
  5.4.1 ブラック・ショールズ・マートンモデル
  5.4.2 初到達時刻モデル
5.5 モデルから計算されるスプレッドの比較
5.6 実強度とリスク中立的強度
  5.6.1 誘導型モデル
  5.6.2 構造型モデル

第6章 社債とソブリン債の価格付け
6.1 回収率の不確実性
6.2 回収率を考慮した誘導型モデルによる価格付け
  6.2.1 額面に対する回収率
  6.2.2 回収率の条件付き期待値
  6.2.3 市場価値に対する割合としての回収率
  6.2.4 回収率の定義の比較
6.3 格付に基づく信用スプレッドのモデル
  6.3.1 一般的な価格付けの枠組み
  6.3.2 過去データへのモデルカリブレーション
6.4 ソブリン債の価格付け
  6.4.1 ソブリン債の信用リスク
  6.4.2 ソブリンスプレッドのパラメトリックモデル

第7章 倒産可能性がある債券の実証分析
7.1 信用スプレッドと経済状況
7.2 スプレッドの参照カーブ
7.3 パラメトリック誘導型モデル
  7.3.1 スプレッドの平方根拡散過程モデル
  7.3.2 ジャンプ拡散スプレッド
  7.3.3 観測可能な信用要因の導入
7.4 構造型モデルの推定
7.5 ソブリンスプレッドのパラメトリックモデル

第8章 クレジットスワップ
8.1 その他のクレジットデリバティブ
  8.1.1 トータル・リターン・スワップ
  8.1.2 スプレッドオプション
8.2 クレジットスワップの基本
8.3 単純なクレジット・スワップ・スプレッド
  8.3.1 クレジット・スワップ・スプレッド.最初の例
  8.3.2 レポスペシャルと取引費用
  8.3.3 クレジット・スワップ・プレミアムの経過分の支払い
  8.3.4 原証券の経過利子
  8.3.5 原証券が固定利払いのノートであったら
8.4 CDSレートのモデル化
  8.4.1 強度が一定の場合
  8.4.2 フォワード倒産率の期間構造
8.5 アセットスワップの役割

第9章 オプション性をもつ信用リスク商品
9.1 スプレッドオプション
  9.1.1 価格付けの枠組み
  9.1.2 数値例
  9.1.3 オプション評価のための数値計算アルゴリズム
  9.1.4 結果
9.2 コーラブル転換社債
  9.2.1 資本構成
  9.2.2 倒産と株式デリバティブの価格付け
  9.2.3 株式デリバティブとしての転換社債
  9.2.4 コールと転換のタイミング
  9.2.5 コールが遅れることの実証データ
9.3 転換社債価格評価モデルの例
  9.3.1 構造型モデル
  9.3.2 転換社債モデル
  9.3.3 価格付けアルゴリズム
  9.3.4 転換社債のヘッジ戦略
  9.3.5 株式ボラティリティの影響
  9.3.6 発行体によるコール
  9.3.7 デュレーションとコンベキシティ

第10章 倒産相関
10.1 倒産相関へのさまざまなアプローチ
10.2 CreditMetricsにおける倒産相関の扱い
10.3 相関のある倒産強度
  10.3.1 相関のあるジャンプ強度過程
  10.3.2 相関をもつ対数正規過程に従う強度
10.4 コピュラに基づく相関モデル
  10.4.1 コピュラの初期到達モデルへのカリブレーション
10.5 実証分析
10.6 倒産時刻のシミュレーション
  10.6.1 多補償項法
  10.6.2 倒産時刻のシミュレーション
  10.6.3 逆CDFを用いた再帰的シミュレーション
10.7 同時倒産イベント
  10.7.1 多変量指数モデル

第11章 債務担保証券
11.1 はじめに
11.2 CDOの経済学的背景
11.3 倒産リスクモデル
  11.3.1 債務者の倒産強度
  11.3.2 多数発行体を仮定した倒産モデル
  11.3.3 セクターリスク,地域リスク,グローバルリスク
  11.3.4 回収リスク
  11.3.5 コラテラル・クレジット・スプレッド
  11.3.6 分散指数
11.4 価格付けの例
  11.4.1 担保
  11.4.2 減債基金トランシェ
  11.4.3 優先劣後構造
  11.4.4 シミュレーション方法
  11.4.5 パー・スプレッドの結果
  11.4.6 リスク資産への再投資
11.5 倒産時損失の分析
11.6 分散指数の計算

第12章 相対取引における倒産リスクとその評価
12.1 エクスポージャー
  12.1.1 潜在的エクスポージャー
  12.1.2 BIS規制におけるエクスポージャーの計算
  12.1.3 金利スワップ
  12.1.4 スワップのミッドマーケット評価
  12.1.5 スワップの期待エクスポージャー
12.2 相対取引の信用リスク調整
  12.2.1 一方のみに倒産リスクがある場合
  12.2.2 ネッティングと担保に関する調整
  12.2.3 両当事者に倒産リスクがある場合
  12.2.4 例:10年物スワップの調整
12.3 スワップに対するその他の信用調整
  12.3.1 設定
  12.3.2 基本ケースの結果
  12.3.3 オフマーケットなスワップレートの信用スプレッド
  12.3.4 倒産リスクがLIBORレートに依存する場合
  12.3.5 スワップの支払いが非同時な場合
  12.3.6 イールドカーブの形状の影響
  12.3.7 信用スプレッドの期間構造
  12.3.8 両当事者にリスクがある場合
  12.3.9 ネッティングの影響
12.4 通貨スワップの信用スプレッド

第13章 信用リスク計測と市場リスク計測の統合
13.1 市場リスク要因
  13.1.1 準備
  13.1.2 収益率分布のモデル化
  13.1.3 収益率分布の形状
13.2 ジャンプがある場合のデリバティブのデルタ・ガンマ
  13.2.1 デリバティブのリスクにおけるデルタ測定法
  13.2.2 デルタを超えてガンマへ
13.3 市場リスクと信用リスクの統合
13.4 信用リスクがあるときのVaRの計算例
  13.4.1 信用リスクをもつローンポートフォリオのVaRの例
  13.4.2 信用リスクをもつオプションポートフォリオの例

付録A アフィン過程入門
A.1 概論
A.2 アフィンモデルにおける解析解
  A.2.1 多変量の例.各成分が独立な場合
  A.2.2 多変量の例.ヘストンモデル
  A.2.3 リカッチ方程式
  A.2.4 アフィン過程の変換
A.3 応用例
  A.3.1 期間構造モデル
  A.3.2 倒産強度と倒産確率
  A.3.3 倒産相関
  A.3.4 倒産を考慮した期間構造モデル
  A.3.5 オプションの価格付け
A.4 拡張リカッチ方程式
A.5 基本アフィンモデルの解
A.6 停止時刻の強度

付録B アフィン期間構造モデルの計量分析

付録C HJMスプレッドカーブモデル

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