概要
すべての人間は、透明な言葉を生むようにできている―。気鋭の精神科医が豊富な臨床経験をもとに、日本語に潜む神経症性を徹底分析。多くの"1人称で生きる"人々の例に学びながら、借り物ではない言葉とは何なのか、探求していきます。心の問題に関心のあるすべての人、日本語に使いづらさを感じている人、クリエイティブな仕事をしていきたい人のためにヒントとなる考え方を提供します。
目次
第1章 日本語と日本人
「あなた」とYouは同じか/普遍的人称代名詞を基盤とする社会/「主語」を使わない日本語/
日本語に「主語」はあるのか/「主語」のない言語から「主語」の義務化へと変化してきた印欧語/
「主語」を立てる言語・立てない言語の世界観の違い/日本の「我」の萌芽/「主語」が作られてきた日本語/
異文化受容の日本的スタイル/西欧における個人意識の誕生/Subjectの訳語
「個人」「社会」という訳語の誕生/「である」と「する」の狭間で
第2章 「世間」と言葉 ~「世間」内言語について~
モノローグ的世界/察する文化/思想の可能性/「世間」の特質/「世間」内での会話/「世間」内言語/
行動規範としての「世間」の終焉
第3章 自他の区別
0人称の自他/「経験」からの逃避/「言葉が通じない」という事態/「聴く」ということ/
「同じ」を探すか「違う」を探すか/「大衆」と「神経症性」/0人称が構成する「世間」の問題点
第4章 個人主義と利己主義
夏目漱石の「私の個人主義」/「個人主義」とは何か/「個人主義」の難しさ/重層的な秩序/
未熟な0人称と超越的0人称/「自己本位」と「則天去私」/二種類の「われ」/フロムの警鐘/
キメラ状の「利個人主義」の出現
第5章 日本語で「私」を生きるために
「主語」を立てると何が起こるか/一人称を生きる日本人の言葉/金子光晴/白洲次郎/藤田嗣治/
岡本太郎/石岡瑛子/中田英寿・イチロー/村上春樹氏の文体/「世間」内言語との付き合い方/
フックを出さない聴き方/「察する」関係からの脱却/真の対話に向けて
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