概要
サブプライムローン禍に端を発した世界的な金融危機は、基軸通貨ドル体制の終焉へと広がるのか。それともオバマ新政権のもと、ドル体制の再興が図られるのか? 09年以降のドルのリスクシナリオを加筆、文庫化。
将来のドル不安の可能性をどの程度真剣に考えるべきか。データに基づき、国際資本移動と主要国経済やマーケットの動きを重ね合わせ冷静に考察。
目次
まえがき
序章 グリーンスパンVS.バフェット
「双子の赤字」論争
「ドバイG7」が転換点に
本書の構成
第1章 ドルの足下は揺らいでいる
1 米国の経常赤字をどうみるか
規模は歴史的水準に
赤字相手国は全世界に広がる
2 複雑な国際収支と為替市場の関係
国際収支から為替市場を分析する際の覚え書き
国際収支の四項目
分析のフレームワークと実例
3 ドルリスクを映す国際資本移動
二度目の大サイクル?
危機からアメリカンバブルへ(95年~2001年のドル高進行期)
米一極集中からブロック化(2002年以降のドル安期)
第2章 米国経済は砂上の楼閣か
1 ミレニアムにかけてのブームと崩壊
相乗効果を強めた株価急騰と高成長
回避できなかった「根拠なき熱狂」
2 ニューエコノミー論の光と影
ニューエコノミーとは何だったか
なぜ過剰が発生したのか
3 米経済の復活と「双子の赤字」急拡大
ブーム後の景気後退とすばやい復活
小さくなかった後遺症
大不況を回避させた家計需要と財政
低金利がもたらした住宅金融の“高速回転”
超拡張的になったブッシュ財政
歪んだ貯蓄投資バランス
第3章 ドルの呪縛から逃れようとする欧州
1 発足直後にニューエコノミー・バブルに巻き込まれたユーロ
「世界の投資銀行」になった欧州
欧州通貨統合が「プッシュ要因」
財政緊縮・金融緩和のポリシーミックス
市場統合の衝撃
ユーロ紙幣導入もユーロ安要因だった?
2 「過渡期」の終わり
逆転した「短期借り・長期貸し」構造
巨額ロス発生の「記憶効果」
ユーロ国際化の兆し
3 ドルからの離脱という苦悩
ドル・ユーロの振れ幅は大きくなる
ユーロ圏自身の問題点
第4章 米国を支える「ドル・ブロック」アジア
1 米経済の軟着陸を支えたアジアの公的資金
欧州資金を代替したアジアの外貨準備
介入による赤字埋め合わせが米長期金利を抑制
経常・貿易黒字と株式投資でアジアに還流
フィードバック効果を飛躍的に高めた米国のドル安容認
2 アジアが「双子の黒字」を出す背景
未曾有の規模に膨らんだ介入
金融システム不安とデフレが根本要因
結果的に同時進行した量的緩和と大量介入
通貨危機に学んだアジア新興諸国
教科書通りの変動相場制にはならず
歪み強まる中国の国際収支
3 ドル買い支えの限界
大きかったリフレ効果
きしみ始めたドル・ブロック
ドルの小康に潜むリスク
第5章 ドルリスクは消えていない
1 ドル本位制の機能不全
80年代の「双子の赤字」がドル危機につながらなかった理由
ドル本位体制の調整メカニズム
日独の資産価格上昇が効く
今回は「幸運」がない?
2 米財政赤字の削減は困難
消えた「平和の配当」
「五年間で財政赤字半減」は可能なのか
3 ドルをめぐる四つのシナリオ
問われる「米国の世紀」の持続性
シナリオ1緩やかな均衡回復とドル本位制継続
シナリオ2赤字ファイナンス継続とドル高
シナリオ3保護主義傾向の強まり
シナリオ4ドル安加速
無視できないリスクシナリオ
第6章 「大いなる安定」から「100年に一度の危機」へ
長期金利の謎と国際資本移動の急拡大(2005~06年)
流動性急増の背景
分散効果への過信と不十分だった情報開示
「100年に一度の危機」へ(2007~08年)
金融危機下の国際資本移動とドル
悪化する米国ファンダメンタルズとドル
シナリオの再検討
参考文献
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