概要
平安博物館・京都文化博物館を経て文化庁主任文化財調査官を務め、永年史料学の現場で調査・研究に携わってきた著者が、40年の研究成果をまとめた一書。
古文書学を中心にしながら、平安時代の政治・社会・文化から、中世・近世の史料考証におよぶ論考には、著者の豊かな学識と経験に裏打ちされた学問世界が広がっている。
目次
第一篇 政治の変革と社会
藤原伊周呪詛事件について ─宿曜師利原を中心にして─
寛徳荘園整理令序説 ─「起請」文書を中心として─
延久荘園整理令に関する学説批判 ─『愚管抄』の記事を中心にして─
治暦四年における後三条天皇と藤原頼通 ─日置神社文書と禅定寺文書との関係を中心として─
近江国高島郡河上荘・大江保の史料について ─『大江保河上往古中興近代集入雑記』の紹介─
高島郡日置神社文書について
十六夜日記「波の上」試論
足利高氏の二つの願文と篠村八幡宮
第二篇 平安京の変容と宇治
都城拡大論と『山槐記』
平安京の制宅法 ─班給及び東山の景観保持─
平安京周辺の別業
平安京の名所・天橋立邸
山城国宇治郡と久世郡境界考 ─二つの宇治郷を中心にして─
宇治白川の金色院創建について ─四条宮寛子の御所宇治泉殿考─
近衛家領山城国富家殿について
第三篇 王朝文化と貴族生活
公家の家名と家業 ─冷泉家を中心に─
内親王名の附け方と読み方 ─お爪点をめぐって─
裏松固禅編『院宮及私第図』(清書本)二巻
藤原定家・一条京極邸と『院宮及私第図』の復元
平安貴族の生活と源氏物語 ─装訂と絵巻物を中心に─
光源氏のモデルと源氏物語の流布
北白河院藤原陳子消息について
第四篇 史料学の諸相
暦年数換算法と藤原定家
新出・承和三年附山城国葛野郡高田郷長解小考 ─売券の証判を中心に─
東洋文庫蔵『本朝文粋』巻二断簡
近衛基通公墓と観音寺蔵絵図との関連について ─『興福寺官務牒疏』の検討─
絹本著色後醍醐天皇像
三松家系図 ─百済王系譜─
第五篇 古記録学と典籍の伝来
頒暦と日記
古記録学小考 ─史料学としての提言─
貴族日記の姿 ─『明月記』を中心として─
古鈔本『範国記』『知信記』
家記と部類記 ─松薗斉著『日記の家』によせて─
『出雲国風土記』浄阿書写説に関する疑問
豊臣秀次の古典籍蒐集
細川幽斎の古典籍書写の一齣
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