概要
中絶問題と不可分の関係性にある、死亡胎児組織の研究利用。英米の議論も詳細に検討し、胎児を排除しようとしている人間が研究利用の決定をする主体として適切なのか、本人が生きているあいだに、家族から、亡くなったら研究に利用していいという代諾を得るということが許されるのか、といった根源的問いに立ち返って考察する。胎児の生命倫理、その問題の所在を知る最新の研究成果。
目次
【目次】(予定)
序にかえて―中絶胎児組織を用いた子宮内胎児治療の現状と移植を受ける側の苦悩 (平塚志保)
1 胎児組織を用いた子宮内胎児治療の現状
2 中絶胎児組織の移植を受ける側の苦悩
3 結びにかえて
第1章 中絶胎児組織の研究利用をめぐるアメリカでのモラトリアム時代 (玉井真理子)
はじめに
1 アメリカの中絶胎児組織利用研究モラトリアム時代──1970年代まで/1987年から1992年まで
2 1993年以降
おわりに
第2章 中絶と胎児利用の倫理 (田代志門)
はじめに
1 全米研究法の形成と中絶胎児研究
2 全米委員会「胎児に関する研究」報告書の議論
3 中絶胎児の研究利用の倫理的問題――その批判的考察
4 結論と展望
第3章 捨てられるいのち、利用されるいのち――胎児および胎児付属物の処分と利用に関わる問題 (平塚志保)
はじめに――問題の視座
1 胎児組織の利用の実態
2 胞衣および胎児へのまなざし
3 現行法上の死亡した胎児および胎児付属品の処分に関する規制
4 いのちの葬られ方、利用の仕方を現代的視点から考える
おわりに
第4章 胎児の遺骸はどのように扱われるべきか――イギリスのガイドラインから (加藤太喜子)
はじめに
1 妊娠中絶法とHFE法
2 胎児利用に関する保健省のガイドライン
3 人体組織法
4 専門職集団から出されたガイドライン
おわりに
第5章 胎児組織の利用をめぐる倫理的問題 (森芳周)
はじめに
1 胎児組織の利用
2 各国の対応
3 中絶をめぐる倫理的問題と胎児組織の利用
4 胎児組織利用の倫理的問題
あとがき(玉井真理子)
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